スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ウェイブウインド&数的区別

2020-12-25 19:08:52 | 血統
 先週の阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったソダシの基礎輸入牝馬は,ソダシの3代母でアメリカ産のウェイブウインドです。ファミリーナンバー2-w
                                        
 繁殖生活は日本でのみ送りました。初年度からサンデーサイレンスを種付けされましたが,白い馬が産まれました。サンデーサイレンスは青鹿毛でウェイブウインドは鹿毛。この場合は葦毛が産まれる可能性はなく,白い馬が産まれたのは突然変異。白毛として登録されました。この馬は繁殖牝馬となった後も,3年連続で白毛馬を産みました。その3番目の産駒がユキチャン。2008年に関東オークスを勝ち,翌年に川崎に移籍。その年の暮れにクイーン賞で重賞2勝目をあげ,翌年のTCK女王盃も勝ちました。この年のNARグランプリの最優秀牝馬を受賞。今年の小倉2歳ステークスとファンタジーステークスを勝っている現役のメイケイエールは,ユキチャンの孫になります。
 ユキチャンの4つ下の全妹も白毛。この馬の産駒に昨年のレパードステークスを勝っている現役のハヤヤッコがいます。
 ソダシの母はユキチャンの7つ下の半妹で白毛。ソダシも白毛に出て,白毛馬としては初めて日本の大レース制覇を達成しました。
 ウェイブウインドは1991年産まれで,初産駒が産まれたのは1996年。一族の歴史は概ね25年くらいで,ユキチャンが初めて重賞を勝ってからだと12年。大レース制覇を達成したように,活力はむしろ増しているとみられる牝系なので,これからも活躍馬が出るのではないかと思われます。

 スピノザは第一部定理八備考二およびその基となったと僕が想定しているフッデJohann Huddeからの質問に答えた書簡三十四の中で,同じようなことを主張しています。それはある事物の定義Definitioは定義された事物の本性essentiaだけを含んでいるということです。ですから,もしもその本性のうちにそのものの存在existentiaが含まれているのなら,これはつまりそのものが自己原因causa suiであるのならという意味ですが,その場合はそのものの定義からそのものの存在が必然的にnecessario帰結しますが,そうでないならば,そのものが存在するためにはそのものの外部にそれが存在する原因というのがあるのでなければなりません。そこでもしも同一の本性を有する複数のものが存在するというのであれば,そうしたものは自己原因ではあり得ないのですから,それら複数のものが存在する原因がそれら複数のものの外部にそれぞれ存在していなければならないことになります。たとえば10人の人間がいるというのであれば,10人の人間が存在する原因は人間の本性のうちには存在し得ないので,この10人の外部に原因がなければならず,しかもその10人のうちたとえばAが存在する原因はAの外部にあり,Bが存在する原因はBの外部にあるといった具合に,ひとりの人間が存在する10の原因がこの10の人間の外部に求められなければならないのです。
 ところで,ある人間とそれとは別の人間の区別distinguereは,当然ながら実在的区別ではなく様態的区別です。そしてこれらのことから,一般的に同一の本性を有する複数のものが存在するのであれば,そうしたものは様態的に区別されなければならないということが理解できます。上述の例の10人の人間というのは,10という数でなくても成立しますし,人間でなくとも成立するからです。したがって,もしもあるものと別のものが何らかの数によって区別され得るのであれば,その区別され得るものは何らかの意味で共通点を有しているのであり,その区別は必ず様態的区別であるということが分かります。つまり数的区別というのは必ず様態的区別なのです。
 無限infinitumであるものの区別が様態的区別である場合もないわけではありません。それは無限様態modus infinitusが区別される場合です。
コメント
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