スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

天皇賞(春)&第三部諸感情の定義三説明

2022-05-01 19:19:12 | 中央競馬
 第165回天皇賞(春)
 シルヴァーソニックは発馬直後に躓いて落馬。タイトルホルダーが押してハナへ。1周目の正面に入るところでリードは5馬身くらい。2番手にクレッシェンドラヴ。3番手にテーオーロイヤルとタガノディアマンテ。5番手にディープボンド。6番手にアイアンバローズ。7番手にハーツイストワールとメロディーレーン。9番手にヒートオンビート。10番手にマイネルファンロン。11番手にロバートソンキーとヴァルコス。13番手にマカオンドール。14番手にユーキャンスマイルとハヤヤッコ。少し離れてディバインフォースでまた離れた最後尾にトーセンカンビーナという隊列。最初の1000mは60秒5のミドルペース。
 2周目の向正面に入るあたりでタイトルホルダーのリードは1馬身くらいに。ここから3コーナーにかけてはまた少しずつリードが広がっていきました。2番手だったクレッシェンドラヴは3コーナーを回ると後退し始め,テーオーロイヤルが2番手,ディープボンドが3番手にそれぞれ上がってきました。直線に入ると逃げたタイトルホルダーがまた2番手以下との差をどんどん広げ,鮮やかに逃げ切って優勝。テーオーロイヤルを外から差したディープボンドが7馬身差で2着。テーオーロイヤルが1馬身差で3着。
 優勝したタイトルホルダーは日経賞から連勝。大レースは菊花賞以来の2勝目。このレースはタイトルホルダーとディープボンドの争いになるだろうと思っていましたので,きわめて順当な決着になりました。逃げて力を発揮するというタイプの馬ですので,主導権を奪った上で自分のペースで走りやすい長距離戦に適性があるということなのだと思います。落馬した馬がレースに参加するような形になりましたが,それほど大きな影響があったようには見えませんでした。父はドゥラメンテ
 騎乗した横山和生騎手はデビューから11年2ヶ月で大レース初勝利。管理している栗田徹調教師は菊花賞以来の大レース4勝目。天皇賞は初勝利。

 悲しみtristitiaは小なる完全性perfectioあるいは小なる力potentiaへの移行transitioであるにしても,それは完全性かつ力でもあるから,積極的なものであるということは,スピノザ自身が指摘していることです。第三部諸感情の定義三には説明が付せられていて,そこで次のようにいわれているのです。
                                   
 「悲しみはより大なる完全性の欠乏に存するとも言えない。というのは欠乏は無であるが悲しみの感情は一個の積極的な状態だからである」。
 ここから分かるように,悲しみがある積極的な状態であるということ,つまり悲しみにもある積極性があるということは,スピノザ自身が強調していることです。そして悲しみがある積極的な状態であるなら,喜びlaetitiaや欲望cupiditasもまた積極的なある状態であるということはいうまでもありません。他面からいえば,人間はある感情affectusを受動するafficiことができるというだけで,積極的な状態にあるといえるのです。これは,何らかの感情を受動することができるということは,働きを受けているその人間が現実的に存在しているからであり,現実的に存在しているということ自体が力であるというように解すれば分かりやすいでしょう。当然ながら現実的に存在していないいかなるものも,何らかの働きを受けるpatiということは不可能であるからです。要するに,第四部公理は,現実的に存在する個物res singularisは,必ずほかの個物から働きを受けるという意味に解することができますが,そのことは現実的に存在する個物の力である,積極的な力であるといっていると解しても差し支えないのです。
 こうしたことはすべての受動感情に該当します。したがって,スピノザが否定的にしか評価しない感情である,高慢superbiaとか憎しみodiumにも該当するのです。なので,現実的に存在する人間は,高慢である限りにおいて積極的であるといういい方は間違っているわけではない,というかむしろ正しいといわなければなりませんし,現実的に存在している人間は何かを憎む限りでひとつの力であるといういい方も正しいといわなければなりません。なので,悲しみの積極性あるいは受動感情の積極性自体が,理性ratioに従うのと同じように人を行動させるのではありませんし,人を敬虔pietasにさせるのでもありません。
コメント
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