スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ラジオNKKEI盃若潮スプリント&ミツと田口

2022-05-04 19:08:49 | 地方競馬
 昨晩の第2回若潮スプリント
 スタースタイルが先手を奪い,シャインポラリスが2番手,3番手にスティールルージュとグレンノハナでしたが,スティールルージュがスピードを緩めなかったので,発馬後の向正面のうちにスタースタイルの前に出ることになりました。3馬身差でランディスシティ。6番手にジェルジオ。2馬身差でヒストリックノヴァ。8番手にエスポワールガイ。9番手はクラサーベルとカプティフ。最後尾にエルロイという隊列。前半の600mは34秒9のハイペース。
 3コーナーでは先頭がスティールルージュで2番手にスタースタイル。シャインポラリスは後退していきランディスシティが3番手に。シャインポラリスが後退したので3番手と4番手との差が開き,この時点で優勝圏内は3頭。ただ途中からの逃げになったスティールルージュには余裕があり,直線では差を広げていき楽勝。スタースタイルが4馬身差の2着に残り,迫ったランディスシティは4分の3馬身差で3着。
 優勝したスティールルージュユングフラウ賞以来の勝利で南関東重賞は3勝目。この馬は距離が短い方がいいですから,短距離路線にシフトしたここは最有力候補。レースをみれば分かるように,スピード能力で他を圧倒しました。このメンバーでははっきりと能力が上だったと判断していいでしょう。祖母の12歳上の半兄にサウスヴィグラス
 騎乗した船橋の本橋孝太騎手は東京2歳優駿牝馬以来の南関東重賞24勝目。若潮スプリントは初勝利。管理している船橋の張田京調教師は南関東重賞7勝目。若潮スプリントは初勝利。

 『わたしが・棄てた・女』の主人公は,森田ミツという女です。この主人公が,黄色いカーディガンを購入するために,町工場で夜勤をして収入を得ます。その給料日に,同僚の田口という男が給料の前借を依頼するのですが,工場長に拒絶されます。田口が前借を依頼したのは,給料を博打に費やしてしまったからでした。ミツは受け取った給料を手にカーディガンを買いに出るのですが,そこで田口と田口の妻子と出くわします。ミツはそのままカーディガンを買いに出掛けるのですが,すぐに囁きを耳にします。これはくたびれた一つの顔,と表現されていますが,神の声と解してよいでしょう。その囁きは,カーディガンを買おうとしているその金で,田口夫妻を助けてくれという主旨のものです。ミツは抗います。ミツはカーディガンを買うために夜勤までして働いたのに対し,田口が給料を前借しなければならないような苦境に陥ったのは,田口自身の責任だからです。すると神から次のように囁かれます。
                                        
 「責任なんかより,もっと大切なことがあるよ。この人生で必要なのはお前の悲しみを他人の悲しみに結び合わすことなのだ」。
 ミツはこの囁きを聞いて引き返し,田口の妻に給料として受け取った金を貸します。つまりミツ自身が聞いた神の囁きによって,予定していたのとは異なった行動をとることになったのです。
 この囁きは,大切なことは他人の悲しみtristitiaを模倣することである,というように解釈することができるでしょう。僕はそれが一般的にキリスト教が教えることであるとは思いません。ただ,もし他人の悲しみを模倣しさえすれば,それは自分の悲しみとなり,自分の悲しみを除去するために模倣した他人の悲しみを除去するようになる,これは意志voluntasによってそうなるのではなく,自然法則によって,あるいは同じことですが神Deusの本性naturaの必然性necessitasによってそのようになるのです。そしてそのようになることによって,人は敬虔pietasであることができるのですから,ミツが聞いた囁きは,確かに人を敬虔にさせるような囁きであったわけです。そしてこの囁きを聞くという働きを受けるpatiことによって,ミツは確かに敬虔であるとされる行動をとったのです。
コメント
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