ヒトの多くは 天然素材というものに対する過剰な信頼のようなものがあって
自然任せにしときゃ何でも解決するんじゃなかろうかという妄想を抱いている人は多いんだが
そもそもヒトの先天的欲望そのものが天然ものだからな
ヒトが塩分や糖質や脂質を過剰に摂りたがるのは 祖先の生息環境においてそれらを積極的に摂ろうとした個体への収斂進化の結果であって
それを「現代社会が悪い」などと称して環境の所為にこじつけるバカは多いが そもそも現代社会だってヒトの欲望が求めたものであって どちらも先天的欲望のコントロールができていないことが原因であり 一方的に「社会環境が悪い」などという話は合理性がない
「自然のものなら何でも安全だ」という 根拠のない観念があるから そこら辺に生えているスイセンやゼフィランサスをニラと間違えて子供に喰わしちまったり イヌサフラン(コルチカム)をギョウジャニンニクと間違えて喰っちまった(死ぬよ)りすることになる
実際には有毒の植物って結構そこら辺にいっぱいあって 陸上自衛隊ではカトラリーが支給されずに そこら辺の枝とか折って箸にしたりして飯を喰っていたそうなんだが キョウチクトウで喰ったら死ぬぞ ほぼ間違いなく死ぬぞ 自然なめんな
ヒトが人工的に生成したものには危険なものもあるんだが それは人工的だから安全性確認を怠ると「人災」として問題になるんであって 天然の危険性は「天災」だから問題にされないだけ
「天災」だったら当事者の無知以外に誰も責任取れないから 問題にされないだけであって 人工物だけが危険なわけではない
一般的に用いられる天然素材というものは 長い間安全性が確認されているから安全なのであって アスベストも天然素材ではあるもののそれまで使われてこなかったために危険性が認知されていなかったことが問題となったのである
何でもかんでも天然由来なら安全なわけではない
遺伝的進化という自然現象にまで根拠のない安心感を抱いてしまい 「進化さえ起きれば何でも解決して 犯罪や戦争までもがなくなるんじゃないか」と思っているバカが結構多いらしいのだ
「進化で月経の痛みがなくならないのかしら」などというトンチンカンな発想も 遺伝的進化を万能で安全なものだと錯覚している実証不能の謎の大衆観念によるものである
リチャード:ドーキンスや山極寿一などの生物学界隈では 遺伝的進化によって「ヒトには人間性が組み込まれているはずだ」などという 論理的プロセスやメカニズムを都合良くこじつけたオカルトファンタジーが あたかも科学的論証であるかのように扱われているが
現実にはヒトの残虐行為は数多く見られ SNS上ではAIが「正解データ」として「学習」してしまう程に多数の誹謗中傷やヘイトスピーチが蔓延しているのであり 到底「先天的人間性」なんぞ統計的にも立証不可能なのである
それは たとえ少数だとしても 少数でも差別迫害が起きるのであれば「先天的な非人間性」の立証にはなり 「無視して良い」話になんぞならん
山極寿一は「現代では戦争をしているのは圧倒的少数だから 戦争はなくなる」などと主張して衆愚人気を集めていたが これは論理的根拠には全くならず 無責任極まりない身勝手な大衆迎合にしかなっていない
「航空機事故は自動車事故に比べたら圧倒的に死者が少ないんだから 対策なんて考えなくても良いんだ」と言っているのと同じ様なものであり バカ過ぎて話にならない
危険学では どんなに小さな確率の危険性であっても 「いつか必ず起きる」という前提の下に対策が施される
中学生のイジメが暴走して殺人にまで至ることは ウクライナ侵攻に比べたら「小さな出来事」かも知れないが 「一つの大きな事象の陰には無数の小さな事象が隠れている(ハインリッヒの法則)」のであって 「少ないから大丈夫」などという話は 衆愚が主観的に安心満足して思考停止してバカになるための非論理的デマにしかなっていないのである
「子供のイジメなんて たいしたことはない」と片付けてしまっていたからこそ 殺人にまで至ってしまったのであり
中学生のイジメ殺人の原因を徹底究明しなかったからこそ ウクライナ侵攻だのミャンマー軍事政権による国民弾圧だの 香港警察による民主化組織弾圧だのといった暴力的独裁の暴走を許してしまったのである
子供のイジメは「よくあること」である
「よくあること」だからこそ 気分的に安心して傍観放置してしまうのであり 多数の事象だからといって見逃して良い理由には全くならない
気分的安心という 主観による行動バイアス(意識の9割を占める無意識)が ヒトをバカに誘う先天的な認知上の欠陥なのであり 生物学界や哲学界における支離滅裂な「説明」に大衆人気が集まるからといって その大衆の多数によって論理客観的根拠が担保されたことになんぞならん
Ende;