石部中央の交差点の角に、ポケットパークがあり、この辺りが嘗ての
宿場の中心的な場所らしい。
常夜灯風のモニュメントが有り、この辺りに「石部城跡」「高札場跡」
「本陣跡」「安民米倉庫」「お半長右衛門」「問屋場跡」「常盤館跡」等
の説明板が見える。
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「安民米倉庫」は、安民米(救済米)を収める倉庫のことだ。
植え付け時には食べる米のない百姓に、米一俵を安民米として貸し付け、
収穫時には年貢として五升を収める制度のことで、納められた米は教育
費に充てられた。
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「お半長右衛門」と言うのは、若者に言い寄られ困惑する石部の町娘
お半(13才)を、京都帯問屋の主、長右衛門(45才)が匿ったことから、
二人は恋仲になり結ばれる。
ところが長右衛門には妻がいて、その事を苦にしてお半は自殺、それ
を知った長右衛門も後追い心中を遂げたという、この宿に伝わる悲恋の
主人公である。
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「常盤館」は、殿城道辺りにあった大規模な芝居小屋だ。
舞台中央には回り絡繰りが設置されており、評判も高く遠方からも観客
が集まったらしい。
大正8(1919)年に火災で焼失して無くなった。(何れも説明板による)
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交差点を渡ると、その先の左側には、「石部宿小島本陣跡」の案内板
があり、横に明治天皇聖蹟碑が立っている。
小島本陣は吉川代官所の跡地に建てられ、永応元 (1652) 年に、本陣
となり、明治維新の本陣制廃止まで続いた。
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敷地2845坪に、間口45間、奥行31間、建坪775坪、部屋数26室の家で、
東海道筋では豪壮鮮麗な建てものとして知られていたが、昭和40年代に
老朽化で取り壊した。
その跡地には街角サロン「いしべ宿驛」が建てられ、誰でも休憩所と
して利用できる。(続)
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