6月の某日、デンパサール行きJL715便は、ほぼ定刻、関西国際空港を飛び立った。
滑走路に入り、ほんの1~2分機体は動きを止めた。
恐らく管制塔からの離陸許可を待っていたのであろう。
やがて轟音を轟かせたかと思うと、機は動き出し、瞬く間にそのスピードを上げる。
「離陸するぞ」と思う間も無く、機がふわりと浮かぶ感覚が座席に伝わってくると、
そのままグングンと上昇を続けているのが体感出来る。
高速エレベータを、更に早くしたような感じで、まるで”はらわた”だけ地上に
置き去りにしてきた・・・、そんな不思議な感覚で・・・、こんなのはどうも好きではない。
以前札幌への出張で、伊丹空港を往復した時は気分が悪く成った。
行きの便では離陸時、若干気分が悪くなったものの、何とか持ちこたえた。
しかしあの離陸時の恐怖心が脳裏に残っていた性か、着陸では酷く酔った。
まるで飛行場の上空から、行き成り垂直に降下しているのでは無いかと思うような恐怖心が襲った。
すうーっと、吸いこまれるように落ちていったかと思うと、暫く水平に飛行する。
そうかと思うと、またすうーっと、吸込まれるように落ちていく。
そんなことを何度も何度も繰り返しながら着陸しているようで、完全に気分が悪く成ってしまった。
空港で、昼飯をかき込む同僚たちを尻目に、何も食べられず青い顔をして、一人冷水をチビチビと
舐めていたあの時の記憶は今でも鮮明に残っている。
そんなことがあって、飛行機は苦手な乗り物としての先入観が有った。
しかし、今回は思ったよりも悪くはならなかった。
昇っているという感覚は伝わってくるものの、酔うほどのことは無かった。
街中の空港と違って海上に造られて空港は、そんなに急激に高度を上げなくても大丈夫なのかも
知れない。
シートベルト着用のサインも消え、ドリンクサービスで貰ったウイスキーを舐めながら、窓から見下ろす
余裕も生れていた。
先ずは一安心。(続)
【写真:何れも関西国際空港にて】
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