簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

四国遍路 夫婦遍路

2011-12-07 | Weblog


 今晩の宿は、「上宇和を過ぎたところ」だと話すと、今来た道を引き返すのは遠回り
だから「厳しい登りが5分ほど有るが、近道だから・・」と、門前の茶店で教えてくれた
裏山を抜ける道に本堂脇から入り込む。



 「宇和文化の里」の看板に導かれ、山に入るといきなりの登り道である。
夫婦で有ろうか、鈴を響かせながら、男女二人連れの遍路が少し前を歩いている。
ここに来て、夫婦遍路を見るのは珍しい。



 一本松の民宿・大盛屋の女将ではないが、何時も一緒に歩いていれば喧嘩になる
ことも度々有るかもしれない。
 第9番札所・法輪寺前の茶店で一緒に成った夫婦遍路は、奥さまが膝を痛め、土佐
一国の区切り打ちの途中で断念している。
 第21番札所・太龍寺に向かう山道で出会った夫婦遍路は、「主人が待ってくれなくて・」
と言いながら、山道で先行するご主人を奥さまが追いかけていた。





 このように男女では体格差も有り、歩調を合わせ歩き続けることは結構難しいと思わ
れるが、そんな事情がどうかは、定かには解りかねるが、土佐から伊予路に入ってから
は余り夫婦連れの遍路にお目に掛ってはいなかった。



 夫婦とは言え、四六時中顔を合わせ、長い道中を歩き続けるのだから、お二人の気
苦労も多いで有ろうことは想像に難くない。
 お互いの協調の上に、寛容の心、我慢強さ、忍耐力、辛抱強さ、包容力、等々あら
ゆるものが備わっていないと出来得ない事なのか、とも考えたりする。
 決して体力と資金と暇だけで為し得るものでは無いことは確かであろう。(続)


  にほんブログ村 旅行ブログ 遍路・巡礼へにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四国遍路 第43番札所・明石寺

2011-12-05 | Weblog
 県道縁にある道引大師堂を過ぎ、左手を流れる肱川の左岸にJR予土線が寄り添って
来ると下宇和の駅が近い。
遍路道はその駅を過ぎた辺りで、県道を離れ集落に入り込む。
集落の中の道は、何度も曲がるので、道標が有るとは言えややこしい。



 角を曲がるたびに「あの辺りだろうか?」と期待を掛け山裾を遠望して見るが、
いっこうに寺らしき大屋根は見えてはこない。

 ようやく近づいて来た。
民家の軒先をかすめるような、狭い道を抜けると左に曲がる広い舗装道が現れる。
残り0.4キロの看板を見て、この山門に続く坂道を歩き始めるが、やっと着いたとの
喜びを感じる間もなく、盛りの過ぎた萩の花が残るこの坂は、何とも急でしんどくて
悩ましい。
 第43番札所・明石寺は、こんな急坂を登った町外れの山際に、静かに佇んでいた。



 喘ぎ喘ぎ登ったものだから、駐車場脇の茶店で一息つかないと、とても本堂に至る
階段が登れそうにない、等と理由を付けてソフトクリームを食べ、冷たいお茶を頂いて、
少し休ませてもらう。



 石段の上のお寺は、こんもりとした木立に覆われている。
源光山の扁額を掲げた立派な仁王門が建ち、それを潜ると更に先に続く石段が本堂に
向かっている。石垣を組んだ一段と高い位置に、赤い屋根をした唐破風造りの本堂や
大師堂が立ち並び、荘厳な気が感じられる雰囲気を醸している。



 この寺、単純に「あかしじ」とは呼ばないようだ。
本来は「あげいしじ」、或いは女神の石あげ伝説に因んで「あげしじ」と言う説も有る
ようだが、「めいせきじ」と呼ぶのが正しいようだ。(続)



  にほんブログ村 旅行ブログ 遍路・巡礼へにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四国遍路 山下りとのどかな県道

2011-12-02 | Weblog
 峠は、木立が途切れ、視界の開けた明るいチョッとした広場に成っていた。
白い大きな石がごろごろとした荒れ地の一角に、大きな自然石の造林記念碑が建ち、
ブロック造りの送迎庵・見送り大師があった。


 
 再び木立の生い茂る山道に分け入ると、道はすぐに下り始めている。
上りが厳しければ、下り道も厳しいのは当然の摂理なのか、なかなか厳しい下り道である。
その勾配もさることながら、所々道らしいところも無く、深く抉られたような場所もあり、何処
を降りようかと一瞬躊躇する場面もしばしばで、難儀を来たす。



 それでも膝をがくがくにしながら、1.5キロ程の道程を、30分ほどで降りられるのだから、
登りに比べれば下りの楽さに変わりは無い。



 肱川の支流の水音に誘われて山を降り、三度県道に出て、5分ほど下った肱川に行き当た
るその手前に「遍路さんの墓」が有った。
 真新しい地蔵堂の脇に建つ小さな小屋の中に、墓柱や石仏等が何体か納められている。
巡礼の途中で行き倒れた者なのか、哀れを誘う。



 歯長橋を渡り左折、県道29号を6キロほど歩けば第43番札所・明石寺は有る。
今晩の宿は、そこから更に3キロほど先のJR上宇和駅の近くに取っている。
 コスモスや彼岸花が咲き、金木犀が何処からともなく匂って来るのどかな道である。
所々に休憩所も整備されているので、休み休み歩けるのも有りがたい。



 途中人家の庭先で、大きな鹿を解体しているのに出会った。
無残に皮を剥がれて横たわる、赤い巨体が生々しい。(続)




  にほんブログ村 旅行ブログ 遍路・巡礼へにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする