
高架の路線を行く列車の前方には、モクモクと白い煙を吐き出す煙突
が何本も見えている。水島コンビナートの一角を担う工場群である。
常盤駅を出ると線路は分岐し複線となり僅か3分、倉敷市駅からは25分
ほどで沿線最大の駅水島に到着だ。

元々は、貨物専用の三菱自動車水島製作所の岡山工場駅として開業し、
旅客輸送を始めると同時に水島駅と改名された。
旅客用の島式ホーム1面2線の高架駅で、日中は委託駅員が常駐する。
多くの旅客列車はここが終点で、折り返して倉敷市駅に向い、これより
先に行くのは通勤客の居る朝夕が殆どで、日中は僅かに成る。

是とは別にホームの前には、常盤駅を過ぎて分岐した貨物専用線が通
り抜けている。線路はその先更に南に向け延び、幾つかの分岐を複雑に
重ねながら、国道430号を跨ぐ辺りでは完全に分かれ直進する。
その内の一本は港東線(貨物専用線)として、3.6㎞先の東水島駅に向う。

もう一方は分岐した後進路を西に向け、旅客扱いの終着駅・三菱自工前
駅に向う。
その先は貨物専用線と成り、終着の倉敷貨物ターミナル駅を目指す。

駅の東口側は主に住宅地が広がっている。
西口側に出ると、広大な敷地に大きなバスターミナルが整備され、それを
取り囲むようにビジネスホテルや旅館、病院やマンション等が立地する。
その先には大型のイオンタウン水島ショッピングセンターもある。
しかしターミナルに出入りするバスの姿はなく、人の流れも見えない駅
前は閑散としていて、駅が賑わうのはどうやら朝夕のことだけらしい。(続)


