ついに、処理場行きになった過去の店「いんきょどん」の招き猫。
大きくて愛らしい。だんなは思い出に取っておくというのだが、見たとおり脂汚れもひどい。一応貯金箱になってはいるが今更ここに硬貨を入れる気もしない。
娘とわたしの心やさしい説得により、処理場へ行くことになった。軽トラックに載せた途端、小さいほうの招き猫が割れた。かくして35年の歴史を刻んだ招き猫は、永久に葬られることとなった。時代は終わったのだ。
解体プロジェクトが着々進む中で、一番心が痛む別れだった。3年越しに、中身の処分をしているが、簡単に空っぽにできないものだ。予定のないたまの休みにしかできないことと、思い出に囚われ、迷っては捨てていくので仕事ははかどらない。
今回は、軽トラックを借りて4回処理場を往復した。朝一番に一緒についていったが、いつもの雰囲気と違った。不燃物、粗大ごみのところに黄色のヘルメットのおじさんたちがわんさといる。
信号機を持ってきて、通行止めの指示をする人がいた。何故か信号機は点灯していない。
車を止めたまま待っていると、その妙に多い作業員の数は、「日本野鳥の会の人を呼んでこないと数えられんくらいいる」と、思うほどだった。
頭数を数えたら36名いた。なので、車をすすめたら、人がわっーと寄ってきて、あっという間に軽トラックは空になった。日曜の処理場大バーゲンというわけでもないだろうが。