先週、稽古で、だんなが弦を切った。立て続けに切れたので、かけを眺めたら、なんと深くて、おまけに、溝口が三角に尖がっている。「皮のやすり状態」
ここは、皮を埋めて、くすねで滑らかにしたほうが良いのでは?というと、直し方を習ったのだから、こんどはオレのを直せという。なんという亭主だ。しかし、きったないかけだなあ。
学生時代のかけで、あまりにひどい。皮は硬いし、色は剥げているし。
ゆがけは、かけがえのないという言葉もあるように、そうそう取り替えたくはない。
しかし、行き詰ると道具のせいにもしてしまう。また、その影響も多々ある。
互いに手形を取って注文したかけを断念し、わたしは、弓具店でいくつかあるかけを、ひとつひとつはめていった。このとき、値段は見ないでとにかく手を入れていく。と、ぴたっーと吸い付くように、いい感じのものが、買ってちょーだいと手を握ってくるようなものがあった。それが、今のかけである。ちなみに、その中で一番高く、ん万円だった。
だんなは、買わずに昔のかけを引っ張り出して、思い出に浸っていた。
後日、また弦を切った。今度は射が悪いのか?天才的な豪快な離れなのか不可解だ。
なんとか、皮を貼って、くすねをつけてごまかしたが、良い仕事とは言えない。
びくや、暴発も嫌だが、弦切れが続くのも辛い。こちらは、弦を買わなくてはならないので、1本1000円の弦としても、3本立て続けに切れれば、いわゆる「ひとかたき」の食事代となる。彼は弦を5本買ってきて、8500円となった。
わたしたち夫婦の弓の道は険しく、生活は苦しい。