10月6日。ぐっすり眠ったせいか食欲も出て、脚もピンピン。筋肉痛もなくどこも異常なし。南竜山荘を6時半出発。
南竜ケ馬場から見た白山。庭園のように誰かが石を故意に置いたように美しい。
油坂の頭へ登り、その後、御舎利山を巻いて別山へ登る。目の前の山を見上げ、少し不安ながらもスタート。不安は、別山からチブリ尾根のルートは長いので、何かあったら、にっちもさっちもいかないということだ。ちなみに、にっちもさっちもとは、二進も三進もと書くので、とにかく、足を前へ運んで、ひたすら歩くしかない。
昨日の行程は、登りだったが、下りは得意だから大丈夫とたかをくくっていた。
この流れを越えたら別山の方には水がない。たっぷりの水を仲間が持ってくれて、わたしは身軽に登らせてもらう。頼りっぱなしで、山の地形や行程もちゃんと頭に入っていないという事を反省。登らせてもらう形となって、友達に申し訳なく思う。雨の予想もあるので始めからスパッツを履いていたが、それも着けるときモタモタしていたので、ちゃんと家で練習してくるように注意された。それだけ、危険が伴うという事と、真剣に登らなくては危ないという事だ。そのため、迷惑をかけないように、ひたすらマラソンランナーのように、頑張って頑張って体格の良い人たちについて行く。少しつらいが歯を食いしばって進む。だんだん苦しくなると、心の中で数を数えて登る。1000歩目で水分を補給する。それでも遅れてしまう。
尾根歩きは初めてだ。風で身体が持っていかれそうな時がある。歩くと汗ばむが、止まると一挙に寒くなるので、フリースを着ていたが、レインウエアを着た時点で、フリースを脱いだ。
昨日の禅定道では3人ほどしかすれ違う人がいなかった。今日も朝一に南竜に向かう女性の二人連れが別山から下りて来たのに会っただけ。
岐阜県の標識。登れば下りまた登る。
細い尾根の道が見える。低山登山、安全登山だったのに、今、行かなければ、年々体力がなくなって登れなくなる気がして少し無理な登山かもしれないと思いつつも、何とか行ける気もするという気持ちで来てしまった。昨日も9時間頑張ったのだから大丈夫。
アルプスが観える。しかし、ゆっくり眺めている余裕がない。
尾根の途中の笹のあるところで、ようやくおやつ。寒いので熱いコーヒ―がありがたい。ドーナツを食べる。
少し元気になって別山頂上に到着。万歳!風の為に弱々しい万歳。
観光新道で休んだ時に10円拾った。その10円と、100円を賽銭箱に入れ、無事下山できることをお願いする。
別山から観る白山頂上とお別れし、御舎利山へ向かう。チブリ尾根へ行くには、御舎利山へ登らなくてはならないのである。そこで風が強くて、目にゴミが入った。があ~ん。コンタクトは不便だ。サングラスをしておくべきだった。しばらくうずくまって目を直す。
御舎利山の頂上。下から見たら誰かが立っているのかと思ったが、木製の何かだった。何か確認する間もなく下る。10時30分。だいたい予定通り。
下り始めて、ギャー―!!。熊の糞を確認。
改めて標識の距離を見る。南竜ケ馬場から6.5km。別山まで2.8km。残り市ノ瀬まで6.6km。
チブリ避難小屋に到着する頃、天気が崩れ始める。小屋の中で温かいカップ麺とパンと缶詰で昼食を摂り、各自ボトルに熱いお茶を入れた。これが後で役に立ったのである。実はこの時点で食欲がなく、食べるのも遅いし、チョコレートを最後に口に入れて出かける。窓に雨がぴしぴしと当たり、雨が小屋に入り込む。空は薄暗くなってきたので、早めに下らないと暗くなるので心配だ。
紅葉を愛でる暇もない。チブリ小屋を出て少し尾根を歩いていると強風にあおられた。足が進まない。身体はよろけて、足元の丈の低い笹にしがみつくしかなかった。前の友達のザックカバーがめくれた。その時、不吉な予感が。わたしのザックカバーは、シャワーキャップのようにゴムで止めるだけだ。案の定、風に飛ばされて既になくなっていた。
この強風。風速20mほどあるのではないか。実際、風速20mがどんな感じなのかわからないが、普通に立っていられない。前へ進めないどうする。