たいそうなタイトルになってしまった。なんのことはなく、最近知った伊藤若冲の、まさしく絵画の魔術師という絵の数々に圧倒されたことと、先日、金沢の美術館で観た葛飾北斎の絵に感動したことで、どっちもすごいなあーーーという、単純なわたしの中でのVSだ。
VS これは最高!!雲の中の龍に惹かれる。
小さいときから、無口で友達もいなくてお絵描きばかりていたせいか、絵が好きで、美大へ行きたいと思っていた。中学のとき、父の友達の日展作家の○田先生のところへ、毎週、油絵を習いに行っていた。
しかし、腎臓病になって農業をしていた父と、機織工場へ行っていた母の間に生まれたわたしは、どちらかというと貧乏な家だった。「お嬢様ではないのだから、そんな道楽な仕事で、飯を食ってけんぞ」と、いう両親の強い言葉に、それでも、趣味として絵を習い続けていた。
先生は「体は小さいのに大胆な絵を描くね」と、ほめてくれた。今思えば、それは褒められたのではなく、おおざっぱという意味かもしれないと思える。素晴らしい絵を観るたびに、その道に進んでいなくて良かったと冷静に思う。
油絵の帰りのバス賃をつかって、アイスクリームなど買うと、長い道を歩いて帰らなくてはならない。そんな時、黒塗りの車が、すっと横に止まって「お嬢様、実は・・」と、きたらどうしようか。今の両親が育ての親だったら、辛い別れになるなあと、考えていた。実際、知らない車が止まったら危険なのである。
要するに、絵を描くと言うのはつらい仕事をしなくてすむからという短絡的な考えだったのかもしれない。でも、趣味は心を豊かにする。
「絵では食っていけない」と言った両親は、もっと「食えない」(弓道)ことを続けるはめになることに気づかなかった。