毎年、「料亭たか橋」さんで、落語の独演会がある。高橋さんが殿の高校時代の弓道の先輩なので、弓道部の仲間は毎年夫婦で出かける。しかし、昨年ひとりで出かけたが笑えなかった。なぜなら、みんな夫婦連れで来ているので、殿がいないことが余計寂しく感じた。
今年は、4年生の孫のkouを、家に泊めるたびに落語を聞かせ、DVDを観せた。同じところで笑う。これはいける。婆バカではあるが、この子は利発な子である。じぃじの代わりに来てほしいというと、ふたつ返事だった。先日、骨折したが落語を聞く分には問題ない。
立川談志の弟子だけあって面白かった。来ていた客は平均70歳くらいの高齢である。世話方の先輩と奥さんが玄関で「もげさんの奥さん、まだ見えとらんね。」と、言っているところへ、ちょうど入って行った。「だんなの代理連れて来たわ。」と、いうとようこそ。ようこそ。と、案内してくれた。
孫は、「あー、じぃじの亡くなったとき食べにきたんね。」と、料亭の廊下を歩きながら言った。覚えていたのだ。四十九日の時にここで大勢で食事した。
落語は「片棒」と、「茶の湯」だった。時折、わたしの顔をみてにやっと笑う。初めての落語が10歳とは。「来年も一緒に来るよ。」で、あった。帰りの車で、枕から本題に入るときに、羽織を脱ぐことをいうと「俺、暑いし脱ぐんかと思ったわ。」と、言っていた。また、出囃子が終わるのと同時に座布団に座るのだということも教えた。
この後、彼の右手の代わりに宿題の代筆をさせられた。計算は、わたしより早かった。国語は「ごんぎつね」で、泣ける話だねえと言いながら答えを書いた。「ばぁば助かるわ。」と、こちらこそありがとうね。