2003年に刊行された東野圭吾の推理小説。
そもそもは学研の小学5・6年生向けの雑誌に連載されていた。
小学校の非常勤教師である「おれ」が事件に巻き込まれ、
生徒と一緒に解決して行くと言う話。
大阪を舞台にしたしのぶ先生の話の男性版のような感じだが、
非常勤教師の「おれ」には固有名詞はなく、
休職した教師の代わりに数か月勤務すると言う設定。
第1話は、赴任して2日目に殺人事件が起きる。
同僚の女性教師が体育館の用具置き場で刺殺遺体となって、
発見される。6×3と言う謎のダイイング・メッセージが
残されていた・・・。
小学生向けの雑誌で最初から殺人事件と言う事で、
批判があったようだ。しかも、原因は夫の浮気・・・。
教育上よろしくないと言われてもしかたないか・・・。
第2話のタイトルは「1/64」、第3話が「10×5+5+1」、
第5話が「ムトタト」などと小学生向けのタイトルになっている。
「ムトタト」は一見わけがわからないが、よく考えている。
内容的には簡単でほのぼのとしているところもあり、
「おれ」は25歳の非常勤で仕事は好きではないようだが、
短い期間で関係する小学生に勉強以外の教えも授けて、
なかなかいい所もあるのだが、まじめに働けばいいのにねぇ。
しのぶ先生が熱血教師であるのに対して「おれ」は冷めていて、
一歩引いた視線から接している。対比が面白い。
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