2010年刊行の東野圭吾の推理小説。
これもスポーツものである。
ウインタースポーツものが多いので
東野圭吾はスキーやスノーボードが得意なのか?
と思ってしまう。
今回は我が故郷の新潟県(長岡市だけど)が、
登場してくる。
アルペンスキーの元オリンピック選手であった緋田宏昌の娘、
風美は子供の頃に父親に手ほどきを受け、
天才スキーヤーと呼ばれるようになり、
新世開発スポーツ科学研究所に所属し恵まれた選手生活を送る。
この研究所ではスポーツ選手の遺伝子を研究しており、
ある遺伝子構造を親から受け継いだ子供は、
一流選手になるとの考えから緋田親子の遺伝子を調べようとする。
緋田宏昌は遺伝子ではなく練習で培った技術や精神力で
一流になるとの考え方から協力を拒んでいた。
その理由は人には言えない事だった。
まぁタイトルから想像できるのだが、
カッコウと言う鳥は他の鳥の巣に卵を産み、
ヒナを育ててもらうのである。
風美は緋田宏昌の娘ではないのだろう・・・。
緋田宏昌は妻の智代の妊娠中にスキーの遠征に行っており、
風美が産まれた事も海外で聞いていた。
智代は風美が2歳の時に自殺していた。
妊娠中にそばにいてやらなかった事で智代がノイローゼになったのは、
自分の責任だと考えた宏昌だが、風美を一流選手に育てる事に集中した。
ある日、智代の荷物の中から新聞の切り抜きを見つけた宏昌は、
風美が自分の娘ではない事に気づき調べ始める。
記事は「長岡市で赤ちゃんが盗まれた」と言う内容だった。
新潟県長岡市出身の智代は実家で出産した事になっていたが、
出産の事実はなく実は流産していた。出産を楽しみにしていた
宏昌に流産の事実を伝えられず、智代は赤ちゃんを盗んだのだ。
そう考えた宏昌は誰にも言えない秘密を抱えていたのだった。
自分と血のつながっていない風美が天才と呼ばれるのは、
遺伝子が原因ではない・・・。
ある日、赤ちゃんを盗まれた記事にあった名前の男性が、
緋田を訪ねて来る。ついにこの日がやって来た・・・
そこからサスペンスは始まっていく。
東野圭吾はストーリーを行き当たりバッタリで決めるそうだ。
だから、私が「えっ!」と思うような展開になるのだ。
天才だなと思うのだが、「う~ん」と思う事もある。
この物語がどうなるのかは読んでのお楽しみである。
2016年にWOWOWでドラマ化されている。
キャストは緋田宏昌 役が伊原剛志、風美役が土屋太鳳。