2年ちょっと前に帰国してからずっと、
ほぼほぼ大沢在昌と東野圭吾を読んでいたわけだ。
久しぶりにこの二人以外の作家の作品を読んだ。
以前、友人がこの本の話をしていたのを思い出したからだ。
作者の黒川博行は、サラリーマン、教師を経て、
暇つぶしで書いた作品で賞を取ったため作家になった。
いやいや・・・暇つぶしで賞をとるなんて(笑)
そもそも才能があったということである。
代表作の「麻雀放浪記」は私でも知っていた。
「後妻業」というのは、資産家の老人の遺産を狙って、
後妻に入る事を生業としている女性の事である。
(実名を挙げるのは気が進まないのでイニシャルにするが)
世間を騒がせたC・Kは青酸カリで結婚相手3人を殺害、
他にも複数人が不審死を遂げている。K・Kは練炭などで、
交際相手5人を殺害している。
2014年に発行されたこの作品は作者の知人の父親に起こった、
事件をモデルにしているそうだ。
主人公は69歳の小夜子であるが、この女(あえて女と呼ぶ)は、
結婚相談所の経営者である柏木と結託し、相談所に入会する
資産家の老人と結婚や事実婚を繰り返し、その都度、
相手を殺害して遺産を手に入れる。
遺産の為に殺害する事になんの迷いもないのだが、
それもそのはず複数の前科がある筋金入りの悪人だ。
10年間に9人と再婚、事実婚を繰り返し、
その都度、相手が事故死や病死していれば変だと思うよね。
高齢者の再婚の場合、相手の素性は調べないのかな?
怖い・・・・怖かった・・・。
この作品を読んで(実話なのであろうが)疑問に思った事がある。
まず、結婚相談所のシステムであるが(大手だけかもしれないが)、
お見合いをして3回目のデートまでに結婚を前提とした交際に
進むかどうかの結論を出す。また、男女関係を持ってしまうと、
成婚とみなされる。この作品の中では、とにかく既成事実を作り、
結婚の約束をしないまでも、遺産相続の公正証書を書かせる。
結婚相談所では年収証明書などは必須であり、この作品では、
証明書はとってないようで(高齢だからか?)
小夜子も逆に結婚詐欺師の餌食となるくだりもあった。
小夜子はいつも派手な化粧や服装、宝石を身に着けているが、
見かけからして財産目当てなのは一目瞭然である。
手に入れたお金をホストに貢いでおり、欲と色の両方に執着している。
なんで慎ましやかにふるまえないのか?と不思議に思う。
大阪だからか? 小夜子のような後妻業の女を複数抱え、
騙し方を指南し、自らも殺害に協力し、遺産を山分けにするような
男が経営者だからいい加減なのかもしれない。
小説だから面白おかしく誇張している事もあるのかも。
保険金の受取人になっていると、保険金殺人の疑いありで、
警察も動くようだが、そうでない法的な遺産相続であれば、
多少は変だと思っても調べないみたい・・・。怖い、怖い。
2016年に大竹しのぶ主演で映画化され、
2019年には木村佳乃主演でTVドラマ化されている。