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漫画家たかまつやよいさん@八丈島を彩る人々(11)

2009年11月22日 14時20分14秒 | インタビュー
本日の日曜インタビューは、「流されて八丈島」でお馴染みの
4コマ漫画家、やよい@たかまつやよい先生です。
※漫画家「たかまつやよい」は、たかまつ先生(男性/東京在住)と、
やよい先生(女性/八丈島三根在住)の共同ペンネームで、
2人は仕事上のパートナーとして同じ漫画を分担して描かれています。
今回のインタビューは、静岡県出身、八丈島在住のやよい先生にお願いしました。
なぜ八丈島へ引っ越してきたのか?そして、漫画家から見た八丈島は?
いつか島に暮らしたいと思っている方々必読!島暮らしって楽しいよ♪


漫画家 やよい@たかまつやよい先生 
1978(昭和53)年4月14日生まれ(31歳)

●やよちゃんの借家の更新はもう済んだの?
 うん、家賃の更新はしたよ。

●じゃぁ、八丈島へ引っ越してきて、もう2年以上経ったんだね?
 たしか4月25日だったと思う。契約日というか、家賃の起算日が。

●そうか、では、2年半以上過ぎたんだ。
 そう、もう過ぎた。2年半は過ぎてる。

●やよちゃんは、引っ越してきたときには、島にどのくらいいようと思ったの?
 なにも見通しなかった。もしかしたらずっと島にいるかもしれないし…
でも、わたし、あんまり東京へ帰ること考えてなかった気がする。
期限付けて考えてたわけじゃなくて、たぶん当分いるだろうな、っていうね。

●予感があった?
 予感はあった。ここへ来て、帰るってこと考えたことがないの。

●では、いま住んでて、向うに戻りたいな~とかは?
 ないないないない!ぜんぜんない。まるでない。
そりゃ、たまには東京に遊びに行きたいな~とかはあるけど、
住むつもりで来たから、わたしは観光のつもりでいたことがないから。

●しばらく住んでみて、やはり島の暮らしは合わないと帰って行く人もいるよ?
 まぁ、いるけど、わたしはあまり変わってないよ。ついこの前、編集さんと電話で、
「1年ぐらいで帰ってくるかと思った」といわれたけどね。(笑)

●はじめてやよちゃんが島に来て、すぐに部屋を借りちゃったときに、
たしかその日の夜に一緒に「梁山泊」で飲んだけど、実際わたしも
気分転換というかネタ探しに島に来たのであって、しばらくしたら
また東京へ帰って行くのだろうと思っていたよ。

 あはははは!みんなそう思ったぽいよ。

●まぁ、長くて2年かなと思ってたから、更新したと聞いて、
おや?それなら本気でいる気なのかな、と。
だって、みんな家賃の更新のときに、どうするか考えるでしょう?

 あ!そうか、そういうことか。いわれてみればそうだね。(笑)
わたしは何の気なしに「はいはい、払い込みます~」て更新しちゃった。
なにも考えてなかったよ。てゆうか、ちょっと住んでみて、
あ、ここいいなと思ってたもん。だから、そういう意味では変わってないよ。


やよい@たかまつやよい先生 島のカフェ「てぬきやマイルス」にて

●島の暮らしはどう?暮らしやすい?
 暮らしやすい。ものすごく暮らしやすい。楽!気楽。

●どんなところが気楽?
 なんだろう…あまり気を張ってなくていいというか、だらっとしてていいというか、
ぐだぐだっていったらそれまでなんだけど…あははは!
ぶらぶらっていうことが、本当の意味でのぶらぶらができるから、楽だよね~
まぁ、合ってるっていったら、それまでかもしれないね。

●いつも動いてるものが目に入る東京と比べて、自然に癒されるということがある?
 ある。それは絶対にある。やっぱり空気。空気がぜんぜん違う。
空気がしっとりしてるし、向こうにいた時と比べて目の疲れとかにぜんぜんこない。
肩こりも仕事が仕事だからぜんぜんてわけじゃないけど、全体に減った。
身体にかかる負担が、全体に…どこってわけじゃないけど少ない。
だから、楽に漫画が描けるね。

●島のどこが一番気に入ってる?
 わたしは「海!海!」いう人じゃないから、まぁ、海もいいけど、
やっぱり空気と、それと、東京にいるよりも明らかに人としゃべってる!
東京にいたときって、ぜんぜん人としゃべってないよね。
コンビニの店員さんとかね、あんなの会話と違うじゃない?
だけどこっちだと、ちょっと出て散歩して、知ってる人と会って、
ちょろっと口きいたりとか、それが一番だと思う。
自然とかの全体の環境もあるけど、わたしはそこだと思うな、たぶん。
仕事が仕事だから籠っちゃって口きかないときも実際はあるんだけど、(笑)
でも、それが終わってちょろっと外へ出て、どこかでしゃべったりとか、
その気になればいつでもだれとでもできる。向うにいたときにはそれがなかった。
それは友達とか知り合いとか東京の中にもいたけど、なんかそれと違う。
気軽にしゃべれないというのかな…

●いや、それはそうでしょう。
わたしも東京にいたときには、友達はいたけど、みんな離れてるから、
「じゃ、渋谷で何月何日何時ね」みたいな会い方しかできないわけだから。

 そうそうそうそう!こっちはそういうのじゃないじゃない。

おーい!ていってすぐ行けるでしょ。(笑)
 そうそう!行きあって口きいたりとかね。車から声かけられたりとかね。(笑)
いつでもその気になれば、そこらへ出ていけばだれかいるっていう、
その安心感じゃないかな、たぶん。


やよい先生の愛犬であり目印となる波平さん(2007年撮影)

●やよちゃんは「八丈書房」によく行くから、書房の人達にもずいぶん親切に
してもらってるでしょ?

 むちゃくちゃ親切にしてもらってる。それは、わたしがというより波平(愛犬)が
親切にしてもらってるんだよ。たまに波平を置いて帰ってきたりするよ。(笑)

●たまに書房の店員さんが、大潟浦園地に散歩に連れてきてるよ。(笑)
 あーそれは、そういうときだと思う。(笑)
でも一番好きなのは、あそこのおばさんが大好きなの。狂うほど大好き。
行くともう帰りたくないからね。だから、波平にとってもよかったよね、
東京じゃそういのないもん。他にもいくつか波平立ち寄り所があって、(笑)
赤松交通も大好きだし、パパズインのママも大好きだし。

●それは、やよちゃんが島の漫画を描いてくれてるというのがあるでしょうね。
それでみんなが親切にしてくれるというのはあると思うよ。

 うん、それもあると思う、もちろんね。だから、その辺はありがたい。
単行本を出してから、ぜんぜん知らない人に声かけられて、
オクラもらって帰ってきたこともあるよ。(笑)
わたしの顔はわからなくても波平ですぐにわかって、
「あの先生でしょう?オクラ持って行きなさい」といってくれて。

●そういうのが楽しい?
 うん、そういうのがあるとすごく楽しいよね~

●では、島ではそんな風にのんびりと、楽しく、寂しくなく暮らせてるのね?
 うん、ぜんぜん寂しくない。「お前、寂しくないだろう」と相方にいわれるもん。
ぜんぜん寂しくないです。(笑)親戚とか友達とか、いなくて来たけどね。

●やよちゃんはテレビ東京の「10万円で暮らせる島」で八丈島を見て、
インスピレーションで引っ越してきたということだけど、
もともと東京は嫌だな~とか思ってたの?

 嫌だというのじゃなく、東京で住んでくのはキツイと思ってた。
なんかよくわかんないけど、いつも疲れてた。
雨が降ると蒸し蒸しジメジメして、すぐに体調が悪くなった。
東京に10年住んでたけど、後半はだんだん体調が悪くなって、常に体調が悪い。
病院で診てもらっても何も出てこないし、何が悪いのかわからなかった。
で、こっちに来たらそういうのがなくなったということは、
やっぱり環境だったんじゃない?そういう健康的な問題もあったし、
金銭的にも、ペット可のマンションは東京は高いし、(笑)
でも千葉とか埼玉へ行ってもたいして変わらないと思ってたから、
「じゃぁ、いっそのこと島とかいいんじゃないか?」と相方にいわれて…
それまで島には興味がなくて島の観光も行ったことなかったから、
自分の選択肢の中になかったんだけど、あ~島か~みたいなかんじで。

●そのタイミングで八丈島1ヶ月10万円生活のテレビを見て、
こんな安く暮らせるなら、いいんじゃないか?と。(笑)

 そうそう。(笑)それで生活も不便がなく、いろいろ調べたら、
ヤマトも通ってるし、飛行機も日に何便かあるし、携帯も使えるし、
インターネットは光が通ってるということだから、
じゃ、仕事も何とかなるんじゃない?と思って。
ヤマトの営業所があるのが大きかった。

●島に暮らしてみて、困ったことはある?
 一番不安なのはパソコン関係。すぐにパーツとか買いに行けないから。
だからパソコンは2台持ってる。なにかあったときのために。
必要なものは必ず2つずつとか、予備を持っておかないと恐い恐い。
雷が鳴ったら、すぐにパソコンの電源を切る。なにかあったら困るから。
一番困るのは、停電とか、とにかくパソコンに連なること。
2年前の台風のときは、とにかく困った。
24時間停電が続いて、その間なにも送れない、やり取りができない。
すんごい焦った。携帯も充電が切れちゃうし。
いまは充電用に電池は大量に買い込んであるし、ローソクも用意してるけど、
そのときにはそこら辺が分かってなかったから。
ある程度仕事も早め早めにしておかないと、なにかあったときに困る。
それが気を付けるとこかな。

●東京にいる相方のたかまつさんとは、どんな流れで仕事してるの? 
 大元の企画段階は相方が考えて、それを具体的に4コマにするのはわたし。
そこで編集さんに見せて、わたしが下描きまでして、ペン入れ仕上げは相方。
その間のやり取りはすべてパソコン。
だからパソコンが止まっちゃうとどうしようもない。
でも、それ以外はたいして困ったことはないし、むしろこっちの方が仕事はしやすい。

●島の方が仕事がしやすい?
 しやすい、しやすい。だって、何より身体が楽だもの。
島は湿気が湿気がというけど、こっちの湿気はそんな嫌な湿気じゃないもの。
アスファルトやコンクリートに溜る嫌な湿気ではないし、
ちょっと外に出れば気持ちがいいしさ~風が吹いてるしね。
だから、漫画家とか、みんなこっちに来てやればいいのにと思うよ。(笑)

●八丈島は漫画家におすすめ?
 ものすごいおすすめだよ!だって、ネットができるんだから。
今はアシスタントにもネットで頼む人とかいるんだよ。データ送ればできるから。
だから、みんななんで島に来てやらないんだろう?と思うよ。
相方もいずれは島に来たいな~といってる。そういう希望はあるみたい。
相方にはものすごい羨ましがられてて、申し訳ないとは思ってる。(笑)

●ではその辺は、アピールしておこう!漫画家の方々、どうぞ八丈島へ!
八丈漫画村を作ったらいいね。

 いや、漫画家だけでなく、クリエイティブ系のネットさえあればどうにかなる人は、
みんなこっちに来ちゃえばいいのに、と思うよ。


流されて八丈島―漫画家、島にゆく たかまつやよい先生の4コマ漫画

●やよちゃんの今後の抱負を聞かせてください。
 4コマは4コマで、わかりやすく読んでもらえるから、必要だとは思ってる。 
でも、4コマだと島の魅力が伝えきれない部分がどうしてもあると思うのね。
4コマ漫画というのはオチをつけなきゃいけないの。
だけど、島の良さっていうのは、オチのつかないところにも絶対あるのね。
本当のスローライフにはオチなんかないよね。
そういうものが表現できて、なんとなくいいな~と思ってもらえるような
漫画を描きたいなぁ。そのためには、4コマに縛られるつもりはあまりない。
それは将来的にだけど、ちょっと違った形の島漫画を描きたい。
2年以上島に住んで、これだけ動きたくないと思うのは、
よっぽど自分が島が好きだと思うのね。それをわかりやすく他の人に伝えたい。
そういう漫画の形を模索してやっていきたい。なんか偉そうだけど。

●素晴らしい!ぜひやってください!
 そういう方向でやりたいんだな、というのが最近ようやく分かってきたの。
「流されて八丈島」ももちろん自分で好きだし、あれがなかったらここまで島に
馴染めなかったと思うから、本当に大事な連載なんだけど、また違った形でも
島の外の人に、島のことをいいな~と思ってもらえる漫画をね、描きたい。
そうすることでまた島に来て住んでみたいと思う人がいるかもしれないし。

●「流されて八丈島」もファンが多いから、ぜひあちらもがんばってほしいけど。
 「流されて」でも島のことをちゃんと描いていけるのはこれからだと思う。
最初の2年間はなんだかよくわからなくて精一杯で、「流されて」の1巻は、
島のみなさんに協力していただいて、なんとか出せたようなものだから。
最初の2年間は2年間なりのもので、それはしょうがないとも思う。
いい島漫画を落ち着いて描けるのは、これからだと思います。
本当の意味で島っぽい漫画が描けるといいなぁ。

●ぜひ島漫画の新境地を開いて、島漫画作家というジャンルができるよう
これからもがんばってください。期待しています!
最後に、読者のみなさまへ、やよちゃんから直接ご挨拶を。

 「流されて八丈島」は、本当にみなさまのご協力によって成り立ってます。
これからもどこかで取材協力をお願いした際には、快く受けてくださると嬉しいです。
なるべく、面白く楽しく描かせていただきます。よろしくお願いいたします。

◎しまブロ~八丈島に住みたくて(やよい先生のブログ)
◎たかまつやよい公式サイト
◎たかまつやよい(Wiki)
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やよちゃんとわたしは、彼女が八丈島への引っ越しを検討していた際に、
当ブログを見てくれて、メールをいただいたときからのお付き合いです。
漫画家が八丈島へ引っ越してきて、わたしたちの島のことを漫画にしてくれる。
それはワクワクするような楽しい話でした。そしてそれはすぐに現実に。
ネタ作りという作業に毎々頭をひねりながら、八丈島を最も楽しい方法で
わかりやすく紹介してくれているやよちゃん、ありがとう!
コメント (9)
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