雀の手箱

折々の記録と墨彩画

月夜見の変若水

2011年09月12日 | 塵界茫々

酒井抱一の夏秋草図屏風(1821年)光琳の風神雷神図屏風の裏に表装として描かれたもの。

 今宵は中秋の名月、この地では十三夜も昨晩も曇りなく晴れて、天高くわたる月を眺めることができました。今朝は早くに薄を切りとり、水瓶に挿して今夜の準備に心弾ませています。

 昨日は東日本震災から半年、追悼の行事に各自の悲しみを新たにされたことと思います。今も、震災の記憶は被災された人々の心身に深い傷跡を残したまま続いています。
 9・11のニュヨークでも十年の歳月が経っても、悲しみの癒えないご遺族や多数の人々の涙がありました。
 月読の持つという変若水オチミズは、心にこそ沁みこませて元気を取り戻してほしいものです。欠けていく月も必ず満ちてくる再生の日があるように。
 朝夕のしのぎやすさはともかく、日中の気温33度では、秋冷とは程遠いこの頃です。

秋は琳派。


左図 渡辺始興 簾に秋月図   右図 中村芳中 月に萩鹿図

 天橋の長くもがも 高山も高くもがも 月夜見の持てるをち水 い取り来て
 君に奉りてをち得てしかも  万葉集巻13 3245