雀の手箱

折々の記録と墨彩画

秋の香にむせて

2011年10月04日 | 日々好日
 3メーター近くはある金木犀が今日の雨で花をほとんど落としました。つぼみが葉腋につくころは、朝の庭に漂う少し甘い芳香の場所を探るのが楽しみです。気品のある香を独り占めして、秋の訪れを全身で感じます。
 4弁の小さな花がひとかたまりになって眼に鮮やかなころになると香りも強くなりますが、その在りどころは定かですから、もうわくわくすることはありません。春の沈丁花同様に雨の後などはむせかえるほどの強さに薫ります。 高浜虚子の「木犀の香に打たる鞭打たる如」はさすがに言いえて妙です。
 大きくなりすぎるので、選定が欠かせませんが、やはり私にとっては梅とともに、庭に「ありたき木」です。



          
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 今年はもう柿も摘果ができなくなって、稔るのに任せていたので鈴なりの柿は小粒です。例年よりは熟柿になるのが早いようです。カラスが毎日デザートに嘴を入れていきます。
 大地の恵みもかぐわしい茗荷は、画題にしたあとは、毎朝のサラダにいれ、、刺身のつまはじめ汁物の薬味に、他の野菜と合わせて酢ものや、和え物、そして甘酢漬けの紅の鮮やかを目でも楽しみます。名前を何と問う物忘れの食べ物というのですが、この芳香は忘れたものを思い出させてくれそうです。天ぷらにすると、辛みは飛んで、香りだけはのこります。