台風15号、14号は、北九州の当地ではさしたる障りもなく通り過ぎていきました。二百十日の昨晩は十五夜の月が、雲を押し分けて明るく黄金色に輝いていました。
風の気配も急に秋めいてきた庭で、風に吹き落された枯枝を片づけていると、金水引草や水引草が季節の到来を告げていました。
朝顔は最後の一輪です。瑠璃茉莉ももう終わりのようです。花笠木槿はまだ咲き続けています。花の最後は哀愁を感じさせて、余情があります。
「花の萎れたらんこそ面白けれ」は世阿弥の言で、「誠の花」を見ていますが、萎れたる風体を醜いと見ず、面白いとみるのは、日本人特有の中世以来の美意識であり、価値観でしょう。
こうした移ろう季節の味わいは年齢を重ねるごとにしみじみと身に沁みます。