今年の追い山
毎年のことながら、今月初めから続いていた博多祇園山笠の行事に、弾む気持ちも、出かけてゆく元気もなく、また今年も早朝の追い山の神事をテレビで見物していました。NHKの放映を想い出の記録として留めました。来年の大河ドラマは博多ゆかりの軍師黒田官兵衛とあって、博多人形師たちはこのテーマで腕を競っているものが多かったようです。
追い山ならしを桟敷席で見た日や、山見せで、舁き手の足もとを狙ってかけられる勢い水のはねををかぶった想い出も、もう3年前のことになります。上川端通りの和紙の店によって、上質の描きこみ用の団扇や、画仙紙を祝儀のつもりで買って帰るのが習いでした。この商店街通りに飾られている飾山が毎年八番山として櫛田入り奉納が行われるのです。電線をよけるため最上部が中へ収納される仕組みを珍しがったものです。最近は煙を吐く仕掛けも追加されて華やかになっています。
誰が考え出したものか、暗闇から次第に夜が白み、あけてゆく頃、街中を海の方へ向かって1トンを超す舁き山を肩に、5キロのコースを集団で走り抜けてゆくのは、爽快、勇壮な夏の祭りにふさわしい舞台です。
祭りのハイライトの、この追い山行事で博多祇園は終わりとなりますが、神事とはいえタイムに一喜一憂するのも、夏祭りらしいものです。この後、山は各町内に戻って一本締めののち、すぐ山解きとなり、直会(なおらい)でお開きとなります。
また、もう一つ、博多っ子たちはこの舁き山行事を通して社会に生きてゆく上の躾を身に着けていくとも言われています。
博多祇園から目白押しのお祭りです。今は無法松で知られる小倉祇園で、ヤッサヤレヤレの少し間延びした掛け声とジャンガラにリードされた太鼓の音が響いています。続いて黒崎、戸畑と続きます。戸畑の提灯山が北九州の祇園祭りでは私のお気に入りです。検索してみてください。
もう出かけることもありませんが、どうかした拍子に風に乗って囃子の音らしき気配を感じて想像を逞しくしています。