FRENCH RANGE(フレンチ・レンジ)@奈良市杉ヶ町:ミネストローネ らあめん

確か、このツイートだったと思う。読んだとたんに、ピンと来たのだ。

ノレンも無ければ、ノボリも無く、ただただひっそりとした個人宅か、はたまた何かのオフィスのような物件。情報がないままに、ここにラーメン屋さんがあると信じて扉を開けて入ってみようという客は今のところは皆無と言っていいのではないだろうか。そういう点では四条烏丸の「和醸良麺 すがり」も何となく通り過ぎた人にはココにラーメン店があるとはとても思えないような店構えであるが、ここはその「すがり」以上に分かりにくい。
周りの風景にとけ込んで、まるでラーメン屋であることを隠すかのような保護色的な擬態の見事さは、ほとんどナナフシやコノハムシ並のレベルである。(そう思えば、店の存在感を風景の中でアピールさせたい意図を持っているラーメン店は、黄色や赤の「警告色」を多用するものだ。)

しかし、大きなガラス窓には一応7月17日に開店しましたよ、という旨のポスターが(小さく)掲示されていて、

一応、屋号を示す看板もこんなふうに置いてある。とはいえ、偶然ココを通りかかった人が、コレを見て、ここにラーメン店があると思ってフラっと入って来るということは、まず無いであろう。

ラヲタ的視点から見れば、さらに面白いのがこのお店、あの「麺人ばろむ庵」のすぐトナリであるということ。今日は月曜日ということでばろむ庵は定休日につき、営業中の姿をツーショットで収めることが出来なかったが、今回のフレンチレンジの開店により、「奈良の超ユニークなラーメン店が並ぶスポット」という切り口で今後各メディアに紹介されるようになるのに、そう時間はかからないと予測する。

扉を開けて入ると、まず待合い席のようなスペースがあり、お店の中心はソコから階段を上がった2階部分となる。また、トイレは階段を下りた半地下のところにあり、とかく階段を行き来することになる店舗構造なため、「バリアフリー」というわけにはいかないのは残念だが、そもそも昨年夏に「フレンチらぁ麺ガスパール」として京都の四条烏丸で開店したときは狭い階段を下りた地下に店舗があったので、車椅子対応そのものが無理だったことを思えば、今回の「フレンチレンジ」は、今後、工夫と手の入れ方次第によってはその辺を解決できそうな店舗構造であるように思う。
かつての四条烏丸「ガスパール」に比べれば、広大なホールで四人掛けのテーブル席を中心とし、一人で訪れた(私のような)客は、一人掛けのテーブル席に案内される。いわゆるカウンター席はなかった。

着席するとともにもって来てくれるのは「レモンの香りのするお茶」。コレが爽やかで、ユニークで、この季節になんとも涼やかでありがたい。そして、いわゆる「メニュー」は、ちょっと高級な料理店よろしくデフォルトで持って帰っていいようにしてある。
今回、ここで、今後お店に行こうと計画される方のためにそのメニューを詳細画像でお届けしよう。

メニュー番号1番。「ミネストローネ らあめん」な、フレンチワンタン麺。

2番、「あさりの白ワイン蒸し らあめん」な、あさりダシ ネギラーメン。

3番、「オニオンスープ らあめん」と称するオニオンポタージュとチーズのつけめん。

4番、「スープ ド ポワソン らあめん」なる海老ダシつけめん。

価格は1番~4番いずれを選んでもフルサイズは980円、ハーフサイズは750円。そして、フレンチとしてのコダワリということでか、付き出し(=前菜)と、スープとともに味わう趣向の「締めゴハン」が付く...というメニューが、なんとデフォルトなのである。

かつて、このお店が四条烏丸の「フレンチらぁ麺ガスパール」だったとき、一時間半の行列に耐えて注文したのは3番の「オニオンスープ らあめん」なるつけ麺だった、今回は、明確に「1番」の位置付けにある「ミネストローネ らあめん」を選んだ。
まずは、どのメニューでも共通に提供される付きだし「ハムのムースとプチパン」。
ハムの塩気と肉の味の乗ったムースをひとくちサイズのフランスパンにつけていただく。これによって、いきなりおフランスモードな色彩に客を導くところは、やはりラーメン店としては超異色。

で、メインのミネストローネらあめん。
はてさてミネストローネはフレンチかどうかとか、そういうことも「深く考えるべからず」ということにして、目の前に配膳されてから、「焦がしバターソースです。」とスタッフが仕上げソースをかけに来てくれるのも、わざわざ感のある演出で楽しい。
味わってみると、なかなか手間隙をかけて作ったミネストローネに平打ち太麺を合わせたところはスープパスタ的で、もはや「ラーメン」という域を超えているような欧風の味わい。いっそ、トッピングの青ネギは無い方がいいんじゃないですか?っていうほどに。

このお店の面白いのは、一見、とてもフレンチに気取っているように見えるように演出はしているんだけれど、一客としてホールのテーブル席に座りながら食事していると、ズゾ、ズゾゾゾゾ...と、(ふつうの)フレンチのお店では決してあり得ない麺啜音が四方から聞こえて来ること。もちろん、それは普通の黄色や赤の警告色豊かな由緒正しいラーメン店では当たり前の音風景なのであるが、これほどまでにフレンチに演出されたお店の中で、ズゾゾ、ズゾゾゾゾ...なのである。
そこで、「麺を啜る文化」をもたない知り合いをお持ちの方には、ゼヒそのお知り合いをこのお店に連れて行っていただいて、その感想をモニターしていただきたいし、私もそういう知り合いがもし今後できれば、ぜひこの超異文化な空間について、感想を問いたいところである。

ワンタンの中の肉はホントに肉々しく、しかも五つもトッピされてなかなか豪華で、

締めゴハンなライスコロッケは、

ミネストローネスープをかけて味わうと、中からチーズが溶け出して、先ほどの中華麺を啜る時に味わう食感とはまた違う美味しさを味わわせてくれる。
つまり、フルサイズ980円はラーメン一杯としては高価にみえるが、この980円は付き出しと締めごはん付きのちょっとしたコース料理ととらえるとどうだ。
3ケタ価格で、ユニークて、変化に富んでて、こんなに面白い。それでいて、それが「ラーメン」だという。
昨年の四条烏丸「ガスパール」がどういう経緯で閉店になってしまったのかは知らないが、今度のフレンチ・レンジでは、センセーショナルに話題となるであろう一時期をなんとか乗り越えて、安定的に「ユニークなフレンチらあめん」のお店として、ぜひ定着してほしいものだ。



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【FRENCH RANGE(フレンチ・レンジ)】
 11:00~14:30  17:30~20:30
 金曜日定休
 0742-26-6005
 奈良市杉ケ町27-1
 P:なし(近隣コインパーキング利用推奨)

フレンチ・レンジラーメン / 奈良駅近鉄奈良駅

昼総合点★★★★ 4.5

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