ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲第4番&第5番

2012-02-24 18:42:55 | クラシック(協奏曲)
先日から続いているヴァイオリン協奏曲シリーズですが、今日はアンリ・ヴュータンの作品です。ヴュータンは19世紀に活躍したベルギー出身の作曲家ですが、生前はむしろヴァイオリンの名手として知られていたようです。ヴァイオリニストによる協奏曲と言えばパガニーニのものが有名ですが、あちらはヴァイオリンの超絶技巧をこれでもかと誇示する作品なのに対し、ヴュータンの方はオーケストラとのバランスもよく考えられており、その分協奏曲としてより完成度の高い作品に仕上がっています。

さて、ヴュータンのヴァイオリン協奏曲ですが、一般的には第5番が演奏機会も比較的多く、CDも出回っているようです(と言っても他の有名曲とのセットがほとんどですが)。しかし、私が今回聴いてみてむしろ第4番の方が内容的に優れているのでは?と思いました。

第1楽章、冒頭4分以上もオーケストラが主題を奏でた後、満を持したようにヴァイオリンが哀愁あふれる旋律を奏でます。続く第2楽章アダージョは慈愛に満ちあふれた美しいメロディ。第3楽章は急速調のスケルツォでヴァイオリンの超絶技巧が満載です。第4楽章は勇壮なマーチでフィナーレを迎えます。全編にわたってヴァイオリンの聴かせ所も多く、かつオーケストラもしっかりとした名曲だと思います。

それに比べると第5番は単一楽章形式で演奏時間も20分程度と小ぶりな作品(逆に言うとだからこそ他の曲とカップリングしやすいのかもしれませんが)。曲調は全体的に哀感を帯びており、全編に渡って泣きのヴァイオリン独奏が堪能できます。私的にはちょっと暗すぎるなあという印象ですが・・・



CDはイツァーク・パールマンのヴァイオリン、ダニエル・バレンボイム指揮パリ管弦楽団のものを買いました。作曲家の肖像画がドデーンと載ったジャケットは私のセンスに合いませんが、ヴュータンの4番・5番が揃ったCDはこれぐらいしか出回ってないのではないでしょうか?演奏内容はもちろん現代のヴィルトゥオーゾ、パールマンのものなので文句のつけようがないです。第4番のスケルツォの高速パッセージも難なく弾きこなしてしまうのはさすがですね。
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