ハードバピッシュ&アレグロな日々

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フランス管弦楽作品集(アンセルメ)

2013-09-16 22:43:40 | クラシック(管弦楽作品)
先日ご紹介したジャン・フルネ指揮によるフランス序曲集に続き、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団によるフランス音楽の名曲オムニバスを取り上げます。フルネ盤は知る人ぞ知る玄人好みの名曲ばかりを集めていましたが、アンセルメ盤はもう少し一般向けの選曲です。全8曲収録されていますが、そのうちポール・デュカスの「魔法使いの弟子」、エマニュエル・シャブリエの「スペイン」は過去に本ブログでもピックアップしたので割愛します。



まずはフランスを代表するオペラ作曲家ジャック・オッフェンバックによる2つの序曲から。1曲目の「天国と地獄」は♪カステラ1番、電話は2番~の替え歌でお茶の間でもすっかりお馴染みの曲です。運動会の定番でもありますね。ただ、例のメロディが出現するのはラスト2分を切ってからで、そこまではむしろ穏やかな曲調。特に中間部分の流麗なワルツや続くヴァイオリン独奏の美しさは特筆すべきものがあります。続く「美しきエレーヌ」序曲も似たような曲調で、マーチ風の出だしから優雅なワルツ風の中間部分に移り、エンディングは再び勇壮なマーチに戻ります。オッフェンバックの次は、セザール・フランクの交響詩「呪われた狩人」。タイトル通り神に呪われた男をテーマにした暗い曲で、不吉なホルンの響きとそれに続く重厚なオーケストラサウンドが全体を支配するドラマチックな作品。陽気な曲が多い本CDの中でうまいアクセントになっていますね。

続くはフェルディナン・エロルドとアンブロワーズ・トマという2人のマイナー作曲家によるオペラ序曲。エロルドが「ザンパ」、トマが「ミニョン」で、正直オペラ自体は全く有名ではありませんが、序曲は単独でコンサートで取り上げられることも多いそうです。個人的には「ザンパ」序曲が大のお気に入りですね。8分弱の小品ですが実に緩急に富んだ曲で、次々と魅力的なメロディが飛び出してきます。急速調の冒頭部分→牧歌的な第2主題→勇壮なマーチ風の中間部→クラリネットの奏でる穏やかな主題→そして再びド派手なフィナーレへ。目まぐるしい展開ですが、それだけに繰り返し聴いても飽きません。それに比べると「ミニョン」序曲はシンプルな構成。静かな冒頭から徐々に盛り上がっていくスタイルで、特にホルンの奏でる美しい主題と中間部の流麗なポロネーズが素晴らしいです。最後のアルチュール・オネゲルの「パシフィック231」だけは現代的な響きの作品で他の曲と比べやや浮いてますが、その他はフランスのロマン派音楽の粋を集めた見事な選曲と言えるでしょう。
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