ちょっと遅いですが新年明けましておめでとうございます。今年もジャズ&クラシックの新譜をマイペースで更新していきたいと思います。さて2014年度の第1弾は昨年12月に発売されたプレスティッジの再発コレクションから悲劇のヴァイブ奏者レム・ウィンチェスターの1枚をピックアップします。このウィンチェスター、何が悲劇かと言うとわずか33歳の若さで亡くなったことです。しかもその死因がロシアンルーレットでの拳銃の暴発と言うのですから、悲劇の人と言うより単に破滅型の人生を送っただけと言えばそれまでですが・・・短いキャリアのためリーダー作もアーゴに1作、プレスティッジに4作しかありませんが、演奏を聴く限りではミルト・ジャクソン直系のソウルフルなマレット捌きが特徴の正統派ヴィブラホン奏者のようです。
本盤「ウィンチェスター・スペシャル」は1959年9月の録音。テナー奏者ベニー・ゴルソンが共同リーダーとして名を連ねており、その他のメンバーもトミー・フラナガン(ピアノ)、ウェンデル・マーシャル(ベース)、アート・テイラー(ドラム)と当時のハードバップシーンの精鋭達が集結しています。計6曲、スタンダードと自作オリジナルが3曲ずつの構成で、軽快な“Will You Still Be Mine”、端正なバラード演奏が光る“How Are Things In Glocca Morra”といったスタンダード曲もなかなか良いですが、個人的には自作曲を推したいですね。特に“Down Fuzz”は冒頭からレムのブルースフィーリングたっぷりのソロが堪能できます。続くフラナガンがまた素晴らしく、鍵盤からとめどなくフレーズが湧き出てくるようなソロが圧巻です。ただ、ゴルソンのテナーソロはくどくて好き嫌いがわかれるかもしれませんね(私も実はちょっと苦手)。ラストの“The Dude”もゴルソンはともかく、レム、フラナガンのブルージーなプレイに拍手!です。ちなみにアルバムタイトルの“ウィンチェスター・スペシャル”とはアメリカ西部でよく使われていたライフルの名前だそうです。単に自分の名前に引っかけただけなのでしょうが、後に銃で命を落としたことを考えると何とも因果なタイトルを付けたものです。