ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ボブ・ハーダウェイ/ルーズ・ブルー

2014-01-13 22:52:35 | ジャズ(ウェストコースト)
前回に引き続きベツレヘムのリイシューからウェストコーストの白人テナー奏者ボブ・ハーダウェイの作品をご紹介します。と言っても誰それ?と言うのがほとんどのジャズファンの反応でしょう。かく言う私も彼に関する予備知識はほぼゼロに等しかったです。リーダー作は1955年発表の本作のみ、サイドでの参加も数枚しかないというまさに幻のジャズメンです。でも、一度聴いてみればその腕前には感心させられるばかりです。意外と野太いトーン、滑らかなフレージング、次々と繰り出されるメロディアスなアドリブ。どれを取っても一級品で、同時期に西海岸で活躍したリッチー・カミューカやビル・パーキンスらと比べても全く遜色ないと言っていいでしょう。これほどの名手でありながら、なぜ録音に恵まれなかったのかはよくわかりません。ただ、当時の西海岸では映画やテレビなどのスタジオミュージシャンとしての仕事が豊富にあり、ハーダウェイももっぱらそっち方面で活躍していたそうです。テナー一本でアドリブを追求するより、安定した仕事を選んだというのが真相かもしれませんね。



全8曲。全てにマーティ・ペイチがピアノで参加しており、軽妙洒脱な演奏でリーダーを盛り立てます。さらに前半4曲ではラリー・バンカーがヴァイブで参加。マックス・ベネット(ベース)、アート・マーディガン(ドラム)を加えたクインテット編成です。後半4曲はバンカーが今度はドラムに回り、ベースのジョー・モンドラゴンとのカルテットです。8曲のうち6曲がスタンダードで、冒頭の“Irrestible You”はじめ明るくポジティブなウェストコーストサウンドが楽しめます。“Spring Is Here”“I Cover The Waterfront”などバラード演奏も悪くないですね。ただ、本作のハイライトはハーダウェイの自作曲でタイトルにもなっている“Lou's Blue”。疾走感あふれるハードドライヴィングなナンバーで、ハーダウェイ→バンカー→ペイチと軽快にソロが受け渡されていきます。3分半ほどの短さの中にウェストコーストジャズの魅力が詰まった隠れ名曲と言っていいでしょう。
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