今日も女性ヴォーカルで、ジューン・クリスティをご紹介します。ローズマリー・クルーニー、ドリス・デイはその美貌を活かして女優としても活躍しましたが、ジューンさんは歌手一本。ジャケットに見られるようなボーイッシュなザンギリ頭がトレードマークでした。50年代にはキャピトル・レコードの看板シンガーとして活躍し、特に「サムシング・クール」はジャズヴォーカル史上屈指の名盤として知られています。ヘレン・メリル、クリス・コナー、アニタ・オデイら同時代の白人女性シンガー同様、ややハスキーがかった低い声が特徴で、童顔に似合わないパンチの利いたヴォーカルを聴かせてくれます。本盤は1957年録音のキャピトル盤です。
ジューンは1940年代は西海岸の名門オーケストラであったスタン・ケントン楽団の歌手を務めており、ソロ活動後も同楽団のメンバーのサポートを頻繁に受けています。ケントン楽団と言えばウェストコーストジャズの俊英達の登竜門でしたので、本盤もドン・ファガーキスト(トランペット)、フランク・ロソリーノ(トロンボーン)、バド・シャンク(アルト)、レッド・ミッチェル(ベース)、シェリー・マン(ドラム)、そして夫でもあるボブ・クーパー(テナー)ら豪華なメンツが脇を固めています。アレンジャーのピート・ルゴロもケントン楽団出身ですね。とは言え、あくまで主役はジューンのヴォーカルなので、各楽器のソロは少しずつしかないのがややもったいないですが・・・全12曲、“I Want To Be Happy”“Irresistible You”“When Sunny Gets Blue”等よく知られたスタンダード曲が中心ですが、“Beware My Heart”“I Know Why”等マイナーな曲も取り上げています。曲調もアップテンポあり、バラードありとバラエティに富んでおり、いずれの曲でもジューンのハリのある歌声が堪能できます。