ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ドリス・デイ&アンドレ・プレヴィン/デュエット

2014-05-18 21:25:39 | ジャズ(ヴォーカル)
引き続き女性ヴォーカルもので、ドリス・デイを取り上げます。前回取り上げたローズマリー・クルーニ-同様、彼女もまたジャズ歌手にとどまらない多彩な活躍をした人で、女優として多くの映画に出演しました。特に有名なのがアルフレッド・ヒッチコックの名作「知りすぎていた男」で、ドリス・デイは主演女優を務めるだけでなく、劇中で歌った“Que Sera Sera”でミリオンヒットを飛ばしました。♪ケ~セラ~セラ~のメロディは皆どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?本作はそんなドリスがピアニストのアンドレ・プレヴィンとのコンビで1961年に録音した作品。後にロンドン交響楽団やロイヤル・フィル等の常任指揮者を務めるなどクラシックの世界で大成功を収めるプレヴィンですが、30代前半のこの頃はジャケットに見られるようなイケメンのジャズピアニストとして名を馳せていました。



そんなマルチな才能を持つ2人の共演ですが、実に魅力的なジャズヴォーカル作品に仕上がっております。ドリスは黒人歌手のような圧倒的な声量こそありませんが、伸びやかで透明感のある歌声でバラード中心の曲をしっとり歌い上げています。一方のプレヴィンのピアノは決して前に出過ぎることなく、ドリスの歌に合わせて胸に沁みるような美しいメロディを次々と紡ぎだして行きます。ミドルテンポの曲で見せるスインギーなアドリブも素晴らしいですね。全12曲、うち有名スタンダードは“Fools Rush In”“My One And Only Love”ぐらいで、後はマイナーな曲中心。プレヴィンの自作曲も3曲(“Daydreaming”“Yes”“Control Yourself”)含まれています。ただ、これが素晴らしい曲ばかり。“Yes”“Remind Me”“Give Me Time”等のバラード曲ではドリスとプレヴィンのデュエットで美しいバラードを情感たっぷりに歌い上げます。“Close Youe Eyes”“Daydreaming”等はベース&ドラムを加えた通常のピアノトリオでこちらの方はより普通のジャズとして楽しめます。雨の日などしっとりした気分のBGMに最適な1枚ではないでしょうか?
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