ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

J・J・ジョンソン/ファースト・プレイス

2015-12-12 23:53:27 | ジャズ(ハードバップ)

本日のピックアップはジャズ・トロンボーンの第一人者J・J・ジョンソンがコロンビアに残した「ファースト・プレイス」です。本ブログでは以前にもJ・Jの代表作「ブルー・トロンボーン」をご紹介しましたが、録音時期も同じ1957年でメンバーも全く同じです。そのメンバーとはすなわちトミー・フラナガン(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、マックス・ローチ(ドラム)。まさに最強のリズムセクションで、特にフラナガンが全編に渡って素晴らしいピアノを聴かせてくれます。タイトルのFirst PlaceとはJ・Jが各種のジャズ雑誌の人気投票で1位に輝いていたことから付けられたもので、まさにこの頃のJ・Jはトロンボーン界の頂点に君臨していました。(実はちょうど同じ1957年にデトロイトからカーティス・フラーがニューヨークに進出してきて、J・Jを凌駕するほどの活躍を見せるのですが、それは後の話です。)



J・Jがなぜ一番人気だったのか、理由はやはり驚異のテクニックでしょう。冒頭のスタンダード“It's Only A Paper Moon”からまるで当たり前かのように高速パッセージを連発していきます。トロンボーンは楽器の構造上アドリブに不向きと言われていたのですが、スピーディかつメロディアスなフレーズを次々と繰り出すJ・Jのプレイは圧巻です。同様の高速ソロはスタンダードの“Be My Love”、自作曲の“Nickels And Dimes”でも堪能できます。もちろん速く吹くだけが能ではなく、ソニー・ロリンズの名曲“Paul's Pal”ではゆったりしたテンポで歌心あふれるソロを聴かせてくれますし、マット・デニス作“That Tired Routine Called Love”ではミュート奏法でミディアムナンバーを軽く料理しています。前述したようにリズムセクションも素晴らしく、J・Jの自作曲“Commutation”では冒頭から1分以上に渡ってトミー・フラナガンが目の覚めるようなピアノソロを披露した後で、満を持したようにJ・Jのトロンボーンが登場。その後マックス・ローチのパワフルなドラム・ソロ、ポール・チェンバースのアルコ・ソロと続くまさに本盤のショウケースのようなナンバーです。

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