ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジャック・ウィルソン/サムシング・パーソナル

2016-03-10 21:07:49 | ジャズ(モード~新主流派)
本日はブルーノートの再発コレクションからジャック・ウィルソン「サムシング・パーソナル」をピックアップします。ジャック・ウィルソンは60年代に活躍したピアニストで決してメジャーとは言い難いですが、1967年に発表した「イースタリー・ウィンズ」はブルーノートの隠れ名盤としてご存じのジャズファンは多いと思います。その作品は東海岸録音でリー・モーガンやジャッキー・マクリーンらブルーノートの誇る大物をバックに従えていますが、あくまでウィルソンにとっては“アウェイ”でのセッションで、彼の“ホーム”は西海岸のロサンゼルスです。当地で60年代の初頭からヴァイブ奏者のロイ・エアーズとコンビを組み、アトランティックやヴォールト(知らないレーベルですが・・・)にリーダー作を発表してきました。当ブログでも以前アトランティック盤をUPしましたね。本作「サムシング・パーソナル」はブルーノート作品ではありますが、“ホーム”のロサンゼルスで1966年8月に録音されたもので、長年の盟友ロイ・エアーズのヴァイブを全面的にフィーチャーしています。他のメンバーはレイ・ブラウン(ベース)とバーニー・バーロウ(ドラム)で、最初の2曲ではブラウンがチェロを弾いてソロを取り、代わりにバスター・ウィリアムズ(ベース)が参加します。



収録曲はボーナストラック1曲を含め全7曲。聴いてみましょう。1曲目“Most Unsoulful Man”はウィルソンの自作曲で、どこか東洋的な雰囲気も漂うスピリチュアルなナンバー。レイ・ブラウンがチェロを弾いてますが、エキゾチックな曲調もあってどこかの国の民族楽器のように聞こえます。続く“The Sphynx”はフリージャズの旗手オーネット・コールマンのカバー。ここでの演奏自体はフリーではないですが、独特の雰囲気を持った曲です。ここまでスピリチュアル→フリーと私のあまり得意でない曲が続いて「すわハズレか!?」と思いますが、そこから持ち直します。3曲目“Shosh”はややモーダルな香りを漂わせたウィルソン自作のブルースでこれはまずまずと言ったところ。4曲目“Serenata”は本作のベストトラックでライトクラシックの王様ルロイ・アンダーソンの名曲を見事ジャズに料理したものです。エアーズの跳ねるようなヴァイブとウィルソンのグルーヴィなピアノソロが最高に心地良いです。5曲目“Harbor Freeway 5.P.M.”は曲名どおり夕暮れのハイウェイの光景が思い浮かぶようなメランコリックなナンバー。エアーズのヴァイブが幻想的な雰囲気を醸し出しています。6曲目“C.F.D.”とボーナストラックのコルトレーン作“One And Four”はどちらも疾走感あふれるモーダル・チューンで、ウィルソンとエアーズのスピーディなソロが圧巻です。以上、前半部分はともかく後半の畳みかけるような展開が見事な1枚です。
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