ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

スタンリー・タレンタイン/ブルー・アワー

2024-05-22 20:49:33 | ジャズ(その他)

本日は久々にスタンリー・タレンタインを取り上げたいと思います。タレンタインは私のお気に入りのミュージシャンで本ブログでも過去に多くの作品をご紹介してきました。1960年に「ルック・アウト」をブルーノートから発表して以降、同レーベルの看板スターとして次々とリーダー作を発表します。本作「ブルー・アワー」は1960年12月16日録音のリーダー作2作目。注目すべきは同じくブルーノートの看板トリオとして売り出し中だったザ・スリー・サウンズと組んでいること。スリー・サウンズも以前にルー・ドナルドソン「LD+3」で取り上げましたが、ジーン・ハリス(ピアノ)、アンドリュー・シンプキンス(ベース)、ビル・ダウディ(トリオ)の3人から成るトリオで、その圧倒的テクニックとポップな選曲で人気を集めていました。

そんな売れっ子同士の組み合わせで一体どんな演奏が繰り広げられるかと期待に胸が膨らみますが、蓋を開けてみればシブ~いブルースの世界が繰り広げられます。タレンタインお得意のノリノリのワイルドなブロウもなければ、ジーン・ハリスのきらびやかなタッチの速弾きもありません。全5曲中、ハリスのオリジナル"Blue Riff"が辛うじてミディアムテンポですが、後は全てゆったりとしたスローナンバー。ブルーススタンダードの"Since I Fell For You"をはじめ、"Gee Baby, Ain't I Good To You"や”I Want A Little Girl"”Willow Weep For Me”などのジャズスタンダードもこってりしたブルース風に演奏されています。主役はまるでむせび泣くようなトーンのタレンタインの野太いテナーですが、ハリスもソロの時のような華やかなプレイではないものの絶妙なタッチでブルージーな雰囲気を演出します。ただ、正直同じような曲調が続くので、やや一本調子なのは否めません。私も唯一ファンキーな”Blue Riff”が実は一番のお気に入りだったりします。


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