ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

スタンリー・タレンタイン/イージー・ウォーカー

2014-02-08 10:27:33 | ジャズ(モード~新主流派)
本日もブルーノート4200番台の再発シリーズからスタンリー・タレンタイン「イージー・ウォーカー」をご紹介します。録音は1966年。この頃のブルーノートは世相を反映して、モード~新主流派路線がラインナップの多くを占めるようになりますが、その中でデクスター・ゴードンとこのタレンタインだけは全くスタイルを変えることなく昔ながらの“オレ流”を貫くことを許されていたようですね。本盤もマッコイ・タイナー(ピアノ)、ボブ・クランショー(ベース)、ミッキー・ローカー(ドラム)と新主流派の面々がリズムセクションを固めていますが、タレンタインはいつもと変わらず豪快かつ野太いテナーを聴かせてくれます。でもそれが一つもミスマッチとならず、むしろ絶妙のハーモニーを生み出すところがジャズの奥深いところですね。この頃のブルーノートにありがちなサイケチックな美女ジャケはお世辞にも趣味がいいとは言えませんが、中身は素晴らしいですよ。



全6曲。いわゆる有名スタンダードは“Alone Together”ぐらいしかありませんが、魅力的な楽曲に溢れています。1曲目は“Meat Wave”はいわゆるジャズロックですね。R&B出身のタレンタインらしいノリノリの演奏が聴けますが、じっくり鑑賞するには不向きです。私のイチ押しは2~4曲目。“They All Say That I'm The Biggest Fool”はバディ・ジョンソンという人が作ったR&Bバラード。男臭さがムンムン漂うタレンタインのバラードプレイにしびれます。続く“Yours Is My Heart Alone”はなんとフランツ・レハールのオペラ曲らしいですが、そんなことは微塵も感じさせない軽快なミディアムチューンに仕上がっています。マッコイ・タイナーのモーダルなピアノソロが演奏を盛り上げます。タイトル曲でもある“Easy Walker”はビリー・テイラーの作曲。ゆったりしたテンポの中にもグルーブを感じさせる佳曲です。他では当時のヒット曲でもあるバート・バカラックの“What The World Needs Now Is Love”も入っていますが、これはまあまあかな。

なお、今回発売されたCDには翌1967年に収録された2曲がボーナストラックとして入っており、これがなかなかの出来。“You Want Me To Stop Loving You”はデューク・ピアソンのアレンジによる8人編成のミニオーケストラをバックにタレンタインが豪快に吹きまくる趣向。曲も無名ながらキャッチーなメロディが印象的です。もう一つは有名スタンダード“A Foggy Day”で、本編同様マッコイ・タイナーのピアノトリオをバックにタレンタインが豪快に吹きまくります。どちらもお蔵入りさせておくにはもったいない名演です。
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