ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

MJQ

2016-08-02 12:32:34 | ジャズ(ハードバップ)

本日はプレスティッジの7000番台の再発シリーズから2つのMJQによる作品をご紹介します。ジャケットを見ていただければわかると思いますが、1つは巷間よく知られている“モダン・ジャズ・カルテット”ですね。ミルト・ジャクソン(ヴァイブ)、ジョン・ルイス(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム)から成るカルテットで、1952年に結成。その後1955年にドラムがクラークからコニー・ケイに変更しますが、1974年の解散まで20年近く同じメンバーでプレイし続けたジャズ界屈指の長命グループです。その特徴はモダンジャズにしては珍しくクラシックの影響が強いことで、特にピアニストのジョン・ルイスが作曲する曲の数々はヨーロッパ的な雰囲気を持ち、ミルト・ジャクソンの典雅な響きのヴァイブと相まって室内楽を思わせるサウンドです。本作は1952年12月録音の彼らにとって最初期の作品ですが、既に作風は完成されています。3曲目の“Vendome”がその典型ですね。スタンダードの“All The Things You Are”や“Rose Of The Rio Grande”も室内楽風に料理されています。一方でルイスはビバップの影響も強く受けており、本作にも収録されている“La Ronde”は“Two Bass Hit”の別名で、ディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィス、レッド・ガーランド、ソニー・クラーク等にカバーされるハードバップの古典的名曲となっています。



本作の後半はもう1つのMJQ、“ミルト・ジャクソン・クインテット”による演奏でこちらは2年後の1954年6月の録音です。メンバーはモダン・ジャズ・カルテットの方のMJQからミルト、パーシー、クラークの3人が参加していますが、ピアニストがジョン・ルイスではなくホレス・シルヴァー、後はヘンリー・ブージアというあまり聞いたことないトランぺッターが参加しています。面白いのはピアニストが代わっただけで、劇的にサウンドが変化していることで、後に“ファンキー・ジャズの伝道師”と呼ばれるシルヴァーに乗せられるように、ミルトも一転してファンキー&ハードバピッシュな演奏を聴かせてくれます。曲は4曲ありますが、何と言ってもホレス・シルヴァー作の名曲“Opus De Funk”が最高ですね。後にミルトがサヴォイ盤「オパス・デ・ジャズ」で演奏したバージョンの方が有名ですが、そちらのピアニストはハンク・ジョーンズ。作曲者自身が演奏に参加した本作も甲乙つけがたい出来です。圧巻はミルトのファンキーなマレットさばきですが、無名のブージアのトランペットも意外とイケます。他は“Buhaina”もシルヴァー作の良質ハードバップですし、ミルトが書いた美しいバラード“I've Lost Your Love”、同じくミルト作でやや調子っぱずれのメロディがミステリアスな“Soma”等も良い出来です。以上、どちらのMJQが好きかは人それぞれでしょうが、私は後半の方が好きですね。

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