広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

新たなスクランブル交差点

2011-11-23 21:11:00 | 秋田のいろいろ
「スクランブル交差点」といえば、歩行者が斜めに横断できる交差点のこと。
東京渋谷のものは日本の活気あふれる光景の1つとして世界的に知られているらしい。当ブログでは、日本で初めてスクランブル交差点になったという熊本市の交差点を紹介したことがあった。

ところで、最近全国的に増えている「歩車分離式信号」。
これは、車両と歩行者が交差点内で交錯しないように、それぞれの信号機を動かすやり方。
従来(通常)は、方向別に車両用と歩行者用信号機が同じ動作をしていたので、車の右左折時に事故になる危険性があったが、歩車分離化すればそれを抑える効果がある。

「歩車分離式信号」はいくつかの種類に分けられ、実はスクランブル式もその1種。
現在、各地で一般的な歩車分離式信号は「歩行者専用現示方式」と呼ばれるタイプ。全方向の車両用信号機を赤にして、その間にすべての歩行者用信号機が青になるものの、横断歩道は通常の交差点と同じ形なので斜め横断できない。
つまり、「歩行者専用現示方式」と「スクランブル方式」では信号機の動作としては基本的に同じ。違いは、斜め横断ができるか(=スクランブル)できないか(=歩行者専用現示)という点。(スクランブルも、広義では歩行者専用現示方式の1つととらえられるかもしれない)


さて、我が秋田県でも、スクランブル方式の交差点はごくわずか。
秋田市内では、古くからある広小路の木内の前と、秋田駅西口の南北それぞれ(フォーラス前とJR東日本秋田支社・ホテルアルファーワン前の「秋田駅前」)の計3つしかなかったはず。(冒頭の写真はフォーラス前の無名交差点)
秋田の元祖スクランブル交差点・広小路の木内前(交差点名なし)
木内前は古くから盲人用信号(音響式、視覚障害者付加装置)も設置されていた。今は他と同じ「ピヨピヨ」だけど、以前の「通りゃんせ」だった頃は、ここだけ他と音が違い、なんていうか柔らかい音色だった。(同じ音の「故郷の空」版が市役所西側の「県庁西」交差点でも流れていた)デジタル音源でなくアナログ音源とかだったのだろうか…

スクランブル交差点は3つのままの秋田市内でも、斜め横断できない「歩行者専用現示方式」が増えているため、歩車分離式信号の総数は増加している。
これは、警察庁が歩車分離式信号を増やすよう通達(※)を出しており、それに従って導入を進めているためだと思われる。
警察庁は各都道府県に対し、具体的に数字を挙げて平成26年度末までにあと何か所歩車分離式信号を増やせという目標値まで示している。
警察庁の通達より
※平成23年4月20日付警察庁交通局交通規制課長発「歩車分離式信号の整備推進について」http://www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/kisei/kisei20110420.pdf
秋田県に対しては、平成22年度末時点で31基ある歩車分離式を、平成26年度末まであと25基増やす(割合では1.66%→3.00%)ようにとのお達し。これじゃあ「ノルマ」だ。(全国的に見ると、もっと厳しいノルマを課されている県もある)

しかし、少なくとも秋田の状況を見ていると、(特に歩行者専用現示方式の)歩車分離化によって、デメリットや必ずしも安全ではなくなってしまうケースが発生してしまっていると感じる。具体的には、
1.車両・歩行者とも待ち時間が長くなる。渋滞を招いたり、街を歩く人の流れが変わってしまう恐れがある。
2.斜め横断できない歩行者専用現示方式の交差点では、青信号の時間が限られてしまうので、斜め向かい(対角線上)へ渡りたい歩行者で歩くのが遅い人は1度の青信号で渡り切れず、1つの交差点で2度信号待ちしなければいけなくなる。
3.待ち時間が長くなることを嫌う車両が、黄~赤信号で無理に交差点内に進入して歩行者の横断を妨害するケースがある。(意図的な信号無視)
4.歩行者・車両とも、思い込みによる「見切り発車」、「見切り横断」が発生しやすい。(意図しない信号無視=注意力の散漫が原因ではあるが)
といった点。

「久保田町」交差点は歩行者専用現示方式
秋田駅西口から2つめの「久保田町」交差点には、かつては歩道橋があった。1988年5月に撤去され横断歩道を設置。10年くらい前(?)に歩行者専用現示方式の歩車分離式信号になった。
ちなみに右奥の白い建物が、2009年1月に倒産した「ホテルハワイ」駅前店。他の2店も含めて建物はそのままだが、どうするんだろう。

上記4つの問題点の中で、いちばん簡単に解決できるのが「2」ではないだろうか。斜め横断できるようにして、スクランブル化すればいい。
歩行者専用現示方式の信号機のシステムは、原則としてスクランブル方式と同じなのだから、斜めのゼブラゾーンを引けばいいだけのことではないだろうか?

そう思って、5年以上前だが、秋田県警へ問い合わせたことがあった。すると、(うろ覚えですが)「斜め横断させるには、縁石や融雪装置等の道路構造物を移動させる必要があり、白線を引けばいいってもんではないのだよ」といった趣旨の回答を頂いた。
なるほど。警察だけの権限・予算でできることではないし、ライン引き以外にもおカネがかかってしまうわけか。
※ところがその後2018年に、縁石が削られて斜め横断できるようになった。時代は変わるものだ。
久保田町交差点。たしかに縁石(右手前とその対角線上)があって、ここを斜め横断したらつまづいてしまう

なお、大きなスクランブル交差点では「斜め横断専用」と表示のある歩行者用信号機が別に設置されているが、木内前のような小規模なスクランブル交差点では設置されていないため、必須の設備ではないと考えられる。
また、最近は時間帯を区切って歩車分離式信号となる交差点も出現しているので、その交差点では、対象時間外の横断を考えるとスクランブル化は難しいことになる。それに変則的な形の交差点も、安全性(信号無視した車がいた場合等)を考えると、斜め横断はさせづらいかもしれない。

でも、いくら安全になるからといっても、歩行者を無駄に待たせることになる歩行者専用現示方式の交差点ばかりを増やしていく(それもノルマを達成するべく)のは、安直なような気がしていた。高齢化が進み、雪国である秋田なのだから。



さて、秋田市中心部の古くからの商店街「通町」(保戸野通町と大町一丁目の境)の交差点の1つ。
無名交差点なので伝えづらいけど、旧通町と旧大工町の境というか、通町から菊谷小路に入っていく交差点というか、バスの神田線・添川線が曲がる交差点というか、角にミンシュ党の事務所がある交差点といえば、秋田市の方ならどれか1つはピンと来るでしょうか。
ここはかつては、城下町特有の一直線でない道路形状の変則的な交差点だったが、10数年前の道路拡張の際、普通の十字路に改められた。そして、数年前に歩行者専用現示方式の歩車分離式信号となっていた。(視覚障害者用信号付き)
ところが、昨日通りかかると…
斜め横断できる!
真新しい斜め横断用の白線が引かれていた。すなわち、歩行者専用現示方式からスクランブル方式に変更されていた!
秋田市で4か所目(?)のスクランブル交差点の誕生だ。

信号のサイクルや視覚障害者用信号の動作の変更はないと思われ、単に白線を引き足しただけのようだ。(もともと縁石もなかったはず)
ここは大規模な交差点ではないものの、地元の食品スーパー(?)「せきや」や各医院が近くて高齢者の通行も多いから、スクランブル化によって歩きやすくなり、恩恵を受ける人も多いことだろう。結果的には白線を引いただけのことだが、評価すべきだと思う。

個人的には、秋田県警はかたくなにスクランブル交差点を増やすのを拒んでいるような印象すら受けていたが、方針が変わったのだろうか。
歩行者の利便性を考えたであろう秋田県警(秋田県公安委員会)の対応がうれしいし、今後も柔軟な対応を期待したい。
(雪が積もる前の今、やらなくたってという気もするけど。積雪や除雪作業などで白線が剥がれたり汚れたりするから)

なお、車両用信号機に付けられる表示板は、県によって(青森県など)は、スクランブル方式の交差点には「スクランブル」、それ以外には「歩車分離式」と区別する所もあるが、秋田県ではどちらも「歩車分離式」としているようなので交換しないと思われる。

通町近くの旧秋田ニューシティ跡前も歩行者専用現示方式の歩車分離式
例えば、ニューシティ跡前もスクランブル化してもいいと思いますよ。
※ニューシティの交差点は交通量が少ないせいか、信号を誤認する車両が多いです。現地を通る方(歩行者・車両とも)は充分にご注意を!

※実質的には、多くの歩行者専用現示方式交差点において、斜め横断が“できてしまい”ます。しかし、一方向の車両用信号機だけが青になっているなど特殊な信号サイクルの交差点や時間帯かもしれません。事故の元なので、斜め横断できない交差点での斜め横断はやめましょう。

【24日追記】秋田県警のホームページに、歩車分離式信号の各方式の解説が出ていた。http://www.police.pref.akita.jp/kenkei/osirase/59.html
古い内容なのか「スクランブル方式は県内で2箇所」とあるが、正確には上記の通り既存3か所+今回新たにスクランブル化された通町ということで、やはり通町が4か所目(秋田市内に限らず秋田県内で)となるようだ。
また、他には県庁・市役所の裁判所側「県庁西」交差点が「右左折車両分離方式」というタイプで、それ以外の秋田県内の歩車分離式交差点はすべて「歩行者専用現示方式」だそうだ。

【2012年4月24日追記】秋田市中通のNTTのビルや秋田市民市場の南側にある交差点もスクランブルになっていた。秋田市内にもう1つ、スクランブル交差点があることになる。
だいぶ前から歩車分離式ではあったが、いつからスクランブル化されたかは不明。※現地の写真はこちらの記事

※この後、2018年には、高齢者などを安全に余裕を持って横断させるためとして、秋田県内で複数の歩車分離式交差点がスクランブル化された



先日の補足。
千秋公園大手門の堀のハスの片付け
今日のようす
月・火でけっこう作業が進んでいた。
残りこれだけ

それから
再開発工事中の「エリアなかいち」※前回の記事
各建物の工事も進んでいるが、前の広小路の路上(写真左)でも工事中。
アーケード撤去のおかしな工事と同時に行われていた、歩道の融雪装置設置工事が本格化していた。
写真では分かりにくいが、車道の1車線を封鎖して、通行止めの歩道の代替通路 兼 作業用車両駐車スペースとしていたようだ。車の流れは若干滞るが、これなら安心して歩行者が通行できる。(歩行者通行スペースの幅は狭いので、特に用がないなら避けた方がいいでしょう)

※再開発関連の続きはこちら、再開発工事の進捗についての続きはこちら
コメント (4)
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