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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

海峡ドラ・旧白鳥

2016-03-23 23:57:45 | 津軽のいろいろ
26日の北海道新幹線・新青森-新函館北斗開業を控えた切り替え工事のため、22日から青函トンネルを通る在来線旅客列車が運休に入った。
これにより、特急「スーパー白鳥」「白鳥」、(夜行)急行「はまなす」、寝台特急「カシオペア」が廃止された(カシオペアは団体ツアー列車として存続)。
また、はまなす廃止により「急行」の列車種別が、はまなすとカシオペアの廃止により客車列車(機関車にひかれて走る動力を持たない車両)が、JR各社の定期列車からそれぞれなくなる。
北海道新幹線開業には、貨物列車や並行在来線など陰の面もあるし、混雑や旅費も増加する。個人的には、あまり喜べない。
秋田から北海道への新旧手段での比較などは、開業後に忘れなければするとして、今回は関連した昔のお話。


昼間に青函トンネルを通る旅客列車は、2002年12月の東北新幹線八戸開業以降は、特急「スーパー白鳥」「白鳥」のみだった。
青函トンネルが開業した1988年からそれまでは、快速「海峡」も青森-函館で運行されていた。
「海峡」は機関車がひく客車列車で、使われた客車は、かつて東北地方でも普通列車として走っていた、エンジ色の「50系」客車を改造した専用車両。
改造内容は、車体塗装を青、窓を固定して冷房設置、2人掛けシートへの交換、トンネル内での走行位置表示の設置など。
50系のほか、急行「はまなす」用などの「14系」客車が使われることもあった。

僕は、1度だけ「海峡」に乗っている。中学校の修学旅行の帰り。ちなみに、行きはフェリーだった。
話に聞いていた位置表示装置がなくてがっかりした記憶があるから、14系だったのだろう。修学旅行対応で増結されたのか。
余談だけど、1995年夏の「旅と鉄道」誌(たぶん。当時は鉄道ジャーナル社から出版)の「海峡」乗車ルポで、秋田市立泉中学校の修学旅行団と乗り合わせたことが触れられていた。その写真には表示装置が写りこんでいたから、50系だった。

1990年代後半になると「海峡」の利用が低迷し、JR北海道によるテコ入れが行われた。それが、カラオケ室付きの車両と「ドラえもん」とのタイアップ。
ドラえもんタイアップは、「ドラえもん海底列車」と銘打って、吉岡海底駅での展示や「海峡」の車内外にキャラクターが散りばめられた。運行開始は1998年からで、JR四国のアンパンマン列車より2年半先。キャラクターとのタイアップ列車としては先駆けかもしれない。

ドラえもんとのび太による車内放送(当時はもちろん、大山のぶ代・小原乃梨子)もあったそうで、キャラクターのデザインからしても、漫画(原作)ではなく、アニメ版のドラえもんとのタイアップということのようだ。

2000年からは、機関車にもキャラクターがデザインされた。
2002年10月。青森駅にて
側面や後部の客車にもキャラクターが描かれている。正面からしか撮影していないのが、今としては悔やまれる。
本来なら、機関車正面に「海峡」の円形のヘッドマークが付いているはずだが、ドラえもんのせいでなくされている。12月の列車廃止を目前にしてカメラを向けたはずで、少々残念だった記憶がある。
もっと大々的にドラえもんの顔がでーんと描かれた別デザインもあった。

機関車は、青函トンネル専用の「ED79」形電気機関車。元の塗装そのままに、キャラクターを追記したようだ。正面の形式表記(ED79 21)は、本来の位置を塗りつぶして、向かって左の窓直下に改められている。
ED79は、JR貨物所有の一部以外は、新造ではなく奥羽本線などで走っていた「ED75」形機関車を改造したもの。だから外観はED75とほぼ同一。一部の改造は、秋田の土崎工場(現・秋田総合車両センター)で施工された。
写真の21号機は、撮影した翌2003年に廃車(ED79としては最初の一群?)されている。
その後も、客車の減少と貨物用新型機関車の導入で廃車が進んで風前の灯だが、新幹線開業で全廃となることだろう。


「ドラえもん海底列車」は、「海峡」廃止後は海底駅見学専用の特急列車として運行され、新幹線工事本格化を控えて2006年に運行を終えた。アニメに合わせて、最後の1年間だけは声優が交代したとのこと。

以後、JRとドラえもんの関係は途切れたようだが、2016年、五能線の青森県つがる市の木造駅との関係ができた。3月20日には、ドラえもんが一日駅長をした。
公開中の「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」の「ツチダマ」というキャラクターは、つがる市で出土した遮光器土偶がモチーフ。木造駅舎は、遮光器土偶をモチーフにしている(というか土偶そのもの)縁。
※1989年公開作(「新・」が付かない)のリメイク版とのこと。僕は映画のドラえもんは見ないので知らなかったけど、タイトルは記憶にある。


次に、今回廃止された特急「スーパー白鳥」「白鳥」。
(再掲)もう走ることはない「スーパー白鳥」
快速「海峡」と特急「はつかり」の後継として、新幹線八戸開業の2002年12月に運行開始。
北海道の大沼に飛来するハクチョウが列車名の由来ということになっているらしいが、かつて青森-大阪を走っていた特急「白鳥」の復活ととらえることもできなくはない。
運行開始当初は、行き先表示がLED化されていない485系電車が代走する場合があり、その時は、かつての「白鳥」のトレインマークを掲出していた。


ここでは、青森-大阪の旧「白鳥」について。こちらは新潟県の瓢湖(ひょうこ)に飛来するハクチョウがモチーフということらしいが、1961年の運行開始当時は「特急列車は空や鳥にちなんだ命名とする」といった国鉄の決まりがあったそう(つばさ、おおぞら、はくたか等)で、その制約もあったのだろう。
青森で青函連絡船の深夜便、後に急行はまなすに接続していて、津軽海峡と無縁でもなかった。

昼間の特急としては最長距離ランナーであった「白鳥」は、2001年3月3日に運行を終えた。
この年のダイヤ改正は、西日本を中心としたもので、実施日が早かった。
それから、もう15年が経ったことになる。
2001年1月秋田駅付近を走る「白鳥」。末期はJR西日本所属の主にボンネット型先頭車が使われていた

同。上の写真とは別車両で、屋根上のライトの形状が異なる(上のほうが本来の形)【25日追記・連結器周りや連結器カバーも、上のほうが原型】
「白鳥」の後継列車は、区間を短くした特急に分割されたが、昨年には北陸新幹線が開業して第3セクター化された区間があり、今改正では先日まとめたように青森→秋田(上りのみ)が特急でなくなる。

せめて、往年の名列車「白鳥」の名前は、どこかで復活してほしいと願ってしまう。
「白鳥」とも関連がある「しらゆき」が、2度の廃止・復活を繰り返して、昨年から運行を続けているように。
※昔の白鳥の別の話題
コメント
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