広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

インナーフード信号

2018-04-09 00:18:46 | 秋田のいろいろ
秋田でも設置が増えている、低コストな信号機の続き。
秋田市内の車両用は、カプセル状フード付きの日本信号製ばかりかと思っていた。
もうちょっと引いて撮ればよかった
秋田市東部の通称・横山金足線(略称・横金=よこかな線)が太平川を渡る辺りに「桜五叉路」がある。
秋田市内で五叉路といえば、ほかには土崎地区の小学校や商店街の近くにもあるが、地点名(交差点名)として明確に「五叉路」としているのは、ここだけ。

土崎の五叉路は昔からあったはずだけど、桜五叉路は比較的新しい五叉路。できて30年くらいだろうか。
かつては農村であったこの辺りは、細い道が延びていたはず。後に横金線が作られた時、既存の道と直角には交わらない配置になった。そのため見通しが悪く、注意喚起で大きな「!」標識が設置された箇所もある。
そんな経緯の中、昔からあった道どうしが交わる十字路だったところに、さらに横金線が貫くことになった地点があり、それが桜五叉路となったのだろう。
でもそれだと、六叉路になるわけで、実際にここでは6本の道が交わっているのだが、昔からの道のうち1本だけは信号機もなく無視された形(交わる位置が少し離れているのと交通量の少なさのためと思われる)になっていて、昔からの道3方向+横金線2方向=五叉路。

横金線側の車両用信号機は、既にLED化されていて、今回は存置。細い道3本分(各1台)が、低コスト仕様に更新された。
更新前は、他の更新箇所の多くと同じく、樹脂製ボディの電球式。
更新後は、2方向はやはり日本信号製カプセル付き(銘板まで確認していないけど外見は同じなので)。
ところが、残り1方向、ゴルフ練習場のほうから来る道を向いた信号機が違った。
ゴルフ練習場からの道から。左右が横金線
↑上の写真で左は横金線側の信号機。右が横森方向から来る道用で、今回低コスト化。そして正面の赤信号が本題。
この1台、更新前は、
Googleストリートビューより
長く、ほぼ一周するような、筒状のフード(ひさし)が取り付けられていた。「ダブルフード」と呼ばれるもので、正面以外からの視界をさえぎって、横からは見えなくするためのアイテム。【12日補足】ダブルフードと筒型フードは、厳密には別物らしい(という説がある)。ほぼ1周するのが筒型で、そこまでいかない半円程度のひさしをダブルフードと呼ぶらしい。
五叉路など変則的な形状の交差点では、道の交わる角度によっては、違う道側の信号機を誤認してしまう恐れがあるので、その対策。
ダブルフードのほか、細かい板(ルーバー)を何枚も点灯部分の前に取り付けたり(関連記事)、秋田県にはないものの偏光レンズを使ったりして、見える角度を制限(視角制限)している。

この道では、横金線を北進する車に誤認される危険が高く、低コスト化後も対策は必要。どうなったか…
薄くてツルツル!
カプセルも、フードもない、平らな信号機。
これじゃあダメじゃん。横から見え放題だもの。と思いきや…
 横からは点灯していないように見える!!
ウワサに聞いていた信号電材社の「インナーフード」と呼ばれるものだ。
信号機の内部、LEDの前に、視角を調整するための極薄の仕組みが内蔵されているということなんでしょう。
下から見上げる
↑上の写真、赤灯の部分を拡大すると↓、

中央部と両端に3点、小さく赤点灯しているのが見えている。この程度なら誤認の恐れはない。正面からは従来同様しっかり見えるし、特に問題はなさそう。
低コスト化されても、メーカーや県によっては、従来のようにフードやルーバーを取り付けて視角制限する場合もあるようだが、これは実にスマートでしかも確実。
(再掲)これまでの信号電材製ルーバー。着雪対策で、さらに透明板をかけたタイプもある
かつては↑このゴツいものでやっていたのと同じ機能が、こんな薄っぺらなもので実現できたとは、大きな技術革新。


インナーフードは置いておいて、ボディが平らな信号機といえば、秋田ではすっかりおなじみになったコイト電工のフラット型がある。さらに過去には、秋田市内2か所で、信号電材製のフラット型の試作品のようなものが一時的に設置されていたこともあった。(いずれもこの記事など参照)
今回設置されたものは、デザイン的には試作品よりもコイトのほうに似ているけれど、コイトよりも表面がややふっくらし、裏面は面取りされていて異なる。
裏面
【11日追記】秋田県警では、車両用信号機の裏面に、設置(製造?)年とメーカーを識別するためのシールを貼っているのだが、この信号機にはなぜかない。「SD18」のはずですが…
裏面下
正面から見て右側に留め金があって、中を開けてメンテナンスできるようになっている。

フードがないため、コイトフラット型と同じく、前にうつむき加減に設置される。
2017年9月6日付 日刊工業新聞「信号電材、警察庁新仕様に対応した信号灯器?小型で見やすく」によれば、「本体を前に15度傾けて太陽光による直接反射を軽減し、視認性を確保する。豪雪地帯などでは角度20度にでき、着雪を防ぐ。」。
インナーフードは「視認できる範囲を30度に狭め」るとのこと。

凹凸がなく、小さくなって、正面以外では光っているのが見えない。これまでの常識をくつがえす信号機と言えそう。でも、スマートなのはいいけれど、「低コストな信号機」を目指すはずが、けっこう「高コスト」になってしまっているような気もする。
秋田市内では、郊外部にもう1台設置されていると思われる。今後も、更新箇所の条件によっては採用されるのかもしれない。

※続きは2018年度の信号機設置状況
コメント (2)
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