広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

種苗交換会の書体

2018-11-02 00:01:15 | 秋田のいろいろ
秋田県種苗交換会の続き。大した話題じゃありません。ちょっと気になったこと。
アルヴェきらめき広場の「本会場」
2009年の時はなかったが、今回は吹き抜けの天井から種苗交換会専用の垂れ幕が4枚下がっている。

「先人に学び農業の未来をひらく」が毎年変わらない種苗交換会のキャッチフレーズ(?)、「秋田から 広がる食農 つながる未来」が今回の第141回限定のキャッチフレーズ(?)らしい。

アルヴェの正面にも垂れ幕と同じデザインの立て看板が出ているし、あちこちでのぼり旗にもなっている。横書きのゲートもほぼ同じ。
秋田テレビの「プライムニュースあきた」のキャスター席の前にも、横書きのパネルが置かれている(春高バレーのバボちゃんみたいな感じで。AKTはJA提供の番組を放送している縁で置いたのか)。
これらに関して。

まず、写真では薄くて見えないが、垂れ幕下部の開催期間と◆が並ぶ間に、「農家のパーティ」と書かれたロゴらしきものがある。
一見、これも種苗交換会のキャッチフレーズとかサブタイトルかと思ってしまうが、そうではない。
「農家のパーティ」とは、要は、秋田市の地産地消プロジェクトの名称。秋田県ではなく秋田市で、別にJAが強く関わっているわけでもなさそう。
それなのに、JAが主催する、秋田県全体のイベントに表示してしまうのは、場違いじゃないでしょうか…


それ以外の、縦書きの黒い文字は教科書体。
教科書体の中でも、クセがなくて個人的には好きなデザインのフォント。
イワタかモリサワ製のフォントかと思われるが、こういうデザイン用途に使われるからには、モリサワのほうだろう。※関連記事

そもそも教育図書向けの教科書体を、それ以外の用途に安易に多用するのはどうかなという気もしなくはないし、もう少し線が太いほうがいい感じもする。
でも、これが種苗交換会の公式の文字表示なのかと思っていた。

しかし、テレビCMでは、
違う書体
こちらは丸ゴシック体。
昭和の写植用書体のような、昔の丸ゴシック体の雰囲気がありながら、それとは違う独特の雰囲気もする。文字のパーツの大小のメリハリが強いような。
「交」の6画目の右払いの書き始めの位置に、「筆押さえ」と呼ばれる逆向きの点状のパーツがあるのが、最近のフォントにしては珍しい。
テレビ朝日「モーニングショー」の説明パネルや単行本・雑誌の表紙などで、最近わりと目にする書体。【2日補足】秋田魁新報の金曜折り込み別紙「マリマリ」でも使われる。数年前まではモリサワ書体だったのに。
個人的には、わざとらしくてくどい印象を受けてしまい、好きでない。【2日補足】1文字ずつ中でパーツが中央に寄っていて、払いが長く周囲の空間が異様に広いのが、わざとらしさを感じさせる。「ふところが狭い」と表現するそうだが、この書体では過剰に感じる。

書体名を調べると、フォントワークス製「筑紫A丸ゴシック」というフォント。Mac OSのバージョンによっては、追加インストールにより無料で使えるらしい。
中央交通のバス停の表示は、同じメーカーの丸ゴシック体「スーラ」だけど、だいぶ違うもんだ。
【2日補足】フォントワークスでは、明朝体や角ゴシック体でも「筑紫」を冠するフォントを作っている。「ちくし」でなく「つくし」と読むらしい。どうして筑紫で、かつ「つくし」と読むのかは不明だが、フォントワークスは福岡の会社で、筑紫書体のデザイナーは福岡県筑紫野市(ちくしの市)在住だそうで、やっぱり筑紫(ちくし)地域を意識した命名なのだろう。なお、地名としての筑紫は、古代は「つくし」と読んだようだ。


配布される「ガイドブック」は、
抜粋
これも同じ丸ゴシック。厳密にはガイドブックのほうは「筑紫B丸ゴシック」。
AとBの違いは、仮名のデザイン。Bのほうが崩れたデザイン。漢字はAB共通らしい。


さらにポスターは、
抜粋
キャッチフレーズは筑紫B丸ゴシック。
でも「秋田県種苗交換会」は明朝体。
明朝体の漢字の書体の同定は困難だが、筑紫シリーズの明朝体だろうか。「交」の筆押さえがないが、そいうデザインの筑紫明朝もある。


以上、「種苗交換会」の文字は、媒体によって少なくとも3書体ある。割山の空港跡地の機械展示会場の立て看板では、また別の教科書体の模様。【2日補足】さらに冒頭の写真奥に写っている、きらめき広場吹き抜けに面した2階の手すりの横断幕では、太くて今風の角ゴシック体。
ロゴマークとか写真には共通性があっても、肝心のイベント名の表記はそろっていない。これってどうなんだろう。何か意図・メリットがあるのだろうか。
単にそれぞれを制作した企業のパソコンにインストールされていたフォントを使ってしまったのだろうか。

そして、昨年以前もしくは来年以降の種苗交換会では、どんな文字が使われるのだろう。
「種苗交換会」の文字をロゴ化して固定すればいいのに。例えば、秋田県内の書家に揮毫してもらうとかして。


さらに「種苗」という、一般人はあまり読めない漢字をふりがななしで使い続けるのは、JAの意地だろうか。
(今はhttpsで暗号化されて分からなくなったけれど)当ブログには「種苗交換会 読み方」とか「ひびょうこうかんかい」みたいな検索ワードでのアクセスがあった。
ヘンに改名する必要はないけれど、ふりがなを振ってやってもいいかも。

テレビCMより協賛イベント
週末は大物ゲストも来る。
壇蜜さんは秋田生まれ、ベリッシモさんは実は母が秋田出身で「食」に関わる人、假屋崎さんは秋田のダリアを使っているようで、いずれも秋田や農業と縁がある。渥美さんはなぜ呼ばれた?
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種苗交換会2018

2018-11-01 00:21:22 | 秋田の季節・風景
秋田は毎年、10月末に時雨の荒れ模様で気温が下がり、秋の終わりを感じさせられる。
そんな時期の恒例行事、「第141回 秋田県種苗交換会(しゅびょうこうかんかい)」が10月30日から11月5日まで、秋田市で開催されている。
種苗交換会は、秋田県農業協同組合中央会(JA秋田中央会)主催のイベント。全国各地にある「農業祭」的なものだが、歴史と規模では全国トップクラス(自称「日本最大級の農業の大祭典」)で、秋田県内のみならず県外から見に来る人も多い。

会場は、平成の合併以前の9市郡持ち回りなので、秋田市では2009年以来の開催。
僕は2009年に初めて種苗交換会を見て、その後は見ていなかった。

2009年は、大町のニューシティ跡地でイベントが行われたり、夜に千秋公園のお堀で火振りかまくらをやったり、中心部を循環する観光ガイド付き無料バスが運行されたりしたが、今回はそれらはなし。【4日追記】今回はニューシティ跡地は大型バス駐車場として使われた(看板が出て、誘導員1名配置)が、利用する車は少なそうだった。
エリアなかいちができ(前回も、日赤病院跡地として屋台などはあった)、駅からなかいちは徒歩で移動可能だし、中心市街地循環バスも運行されるようになったということもあるだろう。火振りかまくらの代わりなのか、なかいちでプロジェクションマッピングが行われる。

今回は、ぽぽろーど~アゴラ広場~なかいちにかけての、屋台や舞台イベント等は「協賛イベント」。
割山(新屋勝平)の秋田空港跡地では、農業用機器の展示会「農業機械化ショー」や墓石の販売等があるが、これも協賛イベント。
秋田駅・なかいち近くと空港跡地を結ぶ無料シャトルバスが、平日20分・土日10分間隔で運行される。土日は駐車場が開放される山王の裁判所前にも停車。
シャトルバスは、今のところは中央交通の古めの貸し切り車(元・三平バスもいた)が使われている。しかし、リーフレットには、中央交通の大型路線バスの写真が掲載されており、人出が多く本数も多い土日などは、そうなるのかも。
【3日追記】土日(金曜も?)は、貸し切り車と路線車(中型も)が混在していた。路線車では当然立ち客も出ており、格差が激しい。


種苗交換会のメインイベントは「優良農産物の出品展示」。
2009年と同じく、「主会場」の秋田駅東口の秋田拠点センター・アルヴェで開催。【3日追記】今年は約2100点を展示。

“交換”会というくらいだから、昔は種や苗を互いにやり取りしていたのかもしれないが、今は、事前に審査され、その結果を付けて並べられたのを見るだけ。買うことも試食することもできない。(別に少々の物販はあった)
でも、前回も感じたように、秋田でどんな農作物が作られているか、そのそれぞれが丹精こめて作られていることが伝わってくる、見応えのある展示だと思う。
なお、開幕数日前から会場に並べて審査が行われているので、モノによっては劣化や傷みが進むこと、土日は混雑が予想される(「入場規制」のプラカードが準備されていた)ことから、可能なら平日に見るのがおすすめ。

開場時間は9時から16時(最終日は昼まで。詳細は公式情報で確認願います)。
知らずに15時半過ぎにのこのこ行ったら、まもなく終わりのアナウンスが流れて、急かされながら見てきた。
※出品物の正式な名称や産地は、それぞれに添付された「出品札」に書かれていますが、全部は見ていません。以下は正確な品目名ではありません。
アルヴェきらめき広場
展示はアルヴェ1階のきらめき広場と2階奥の多目的ホールで、レイアウトは2009年とあまり違わない。
ゲートはあるものの、通常のきらめき広場と同じく、どこからでも出入り可能。

秋田では、近年ダリア栽培・品種作出が盛ん。見た目がきれいなこともあってか、駅側のいい場所で展示。隣にキノコもあったけど。
鮮やか
その中で、
1等賞
審査基準を知らないし、レベルが高くて微妙な違いなのかもしれないけれど、どうしてこれが1等賞なのか(他とどこが抜きん出ているのか)よく分からない。以下、他の作物もおおむね同様。
菊もずらり

今回、展示スペースがいちばん広く感じたのが、
キャベツ
上の写真の1列全部と、右側の島も裏表キャベツで、一面緑色。単にかさばって場所を取るだけかもしれないけれど、例えば白菜なんかよりずっと多い。

再び色鮮やかなのは、
リンゴ
リンゴも点数が多い。同じく多いのは、
ナシ。色が違うのは「青梨/赤梨」という系統の違い

上の写真で、多くの人が足を止めて注目を集めているナシがある。
スマホ全盛の時代にしては高齢者が多かったせいか展示品を撮影する人は多くなかったが、ここがいちばんのフォトスポットと化していた。
そのナシが「日本なし」部門で4点選ばれる1等賞(かつその中から選ばれる優秀賞でもあるらしい)なのだが、注目されるのはそのためだけではない。
上段中央が1等賞、品種は「かほり」
このナシを作ったのが、金足農業高校野球部の吉田投手の祖父だから。
今日付の秋田魁新報 社会面に出ていたため、僕も含めて知る人が多いのだった。

これが1等なのはなんとなく分かる。周りのナシよりひときわ大きく、整ったきれいな外観だから。
香りなども審査基準のようだし、暑さや台風の中、どの農家も苦労したのでしょうけれど。


2階は見た目としては地味だったり、マイナーなものが多い感じながら、おもしろい。
左は枝付き大豆、右は稲
稲は茎・根が付いた植物全体を展示。「根が立派」などと話しながら熱心に見学する人が多い。
ただ、2009年より展示数は減ったようだ。以前は向かい合って両面に並んでいたのが、今回は壁際だけ。
一方、
地味だけど両側にずらり
葉タバコである。
県南内陸、県北で多く栽培されるはず。タバコ消費は減っているはずだけど、2009年並みの数。

あと、急かされて見落とした可能性もあるが、以前はあったホップは見当たらなかった。ホップは今も栽培されているけど、キリンビールにそのまま納められるのかな。以前あった炭とかホオズキもなかった。あと、秋田らしいものといえばトンブリはなかった。
生産量が多いからといって、種苗交換会に多く出品されるというわけではないようだ。季節がある品目もあるし。温室栽培なのか、イチゴは少々出ていた。【11月1日追記】メロンも少々あった。

出品数が少ないジャンルにユニークなものが。
工芸品(でいいのかな?)
藁などで作った、履き物、籠、箕(?)。

1点ずつ2品目
左のふやけた洋梨みたいなのは、湯沢市産「ハヤトウリ」。名前は聞いたことがあったが、見たのは初めてかも。熱帯性の瓜で、加熱調理して食べる。
右はサツマイモじゃなく、横手市産の「ヤーコン」。キク科植物の根。これはたまに売っていることがあり、料理を食べたこともある。

少数派果実類いろいろ【11月1日補足・これは1階の展示】
下段は柿。中段は栗。
上段、左はマルメロ、1つ飛ばして筒に入ったのはギンナン、右のラップがかかったのは男鹿市産イチジク。
栗やイチジクはもっと出品されても良さそうなのに少なかった。

そして上段左から2つ目。
ユズ!
秋田市産「トゲなし本ゆず」。本ゆずとは、いわゆるユズのことで、別にハナユズというのがある。
秋田産のユズというかカンキツ類なんて初めて見た。
カンキツ類の中でも、ユズはある程度耐寒性があり、秋田でも趣味的に栽培して実らせることはできるような話は聞いていた。一方で、農作物として流通させるほどまではできないと思っていた。
でも、ここにあるからには、JAも認めていちおうは経済栽培される秋田産農作物のひとつなのだろう。
秋田産でもユズが穫れると喜ぶべきかのか、生産者の努力を称えるべきなのか、気候の変動として憂えるべきなのか。複雑な気持ちで感心させられた。


種苗交換会関連の話題が多少続きます
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