
☆筆者は、数多くの薬物依存症者と会ってきたし、今も彼らの治療を続けている
☆常に心に留めていることは、「どんな人でも必ず立ち直る」という信念である
*ただの信念ではなく、これは事実だ
☆私は信じている、清原和博氏は必ず立ち直る

☆清原和博さんが覚せい剤取締法で逮捕された
*執行猶予4年の判決を受け、6月に無事執行猶予期間が終了した
☆自らの体験や心情を赤裸々に綴った書籍「薬物依存症」を出版した
*書籍の中で、清原さんは一貫して、真摯に率直に自身のことを語っている
*不安な心情を素直に吐露している様子は印象的である
☆薬物依存症の治療
*自分が薬物に負けたことを認めることから始まると言っても過言ではない
*「いつでもやめられる」と言っているうちは駄目
*「自分は薬物にはかなわない」と認めて初めて、薬物に打ち克つ
☆清原さんは率直に自分の「負け」を認めている
*大変勇気のあることだと思う

☆清原さんが、薬物を使い始めたきっかけは、引退後の不安を挙げている
*薬物依存症になる人の大半は、同じような心理的メカニズムを有す
☆依存症での有名なラットの実験
*水が入った2本のボトルを備え付けた檻の中に、ラットを1匹入れる
*一方のボトルは普通の水、もう1本にはヘロインを溶かしてある
*ラットは、すぐにヘロイン入りの水を選んで飲みヘロイン依存症になる
*檻の中に、遊具を用意し、20匹のラットを入れる
*ラットはヘロインには見向きもせず、餌を食べたり、遊んだりする
*ヘロイン入りの水を飲んだラットもいるが、ヘロイン依存症にならない
*ヘロイン依存症になったラットをこの檻に入れる
*このラットも仲間との活動や遊びなどに熱中し、ヘロインに見向きもしない

☆ヘロインはそれ自体で強力な依存性を持つ薬物である
☆ラットが依存症になるのは、ヘロイン単独の作用だけではない
*孤独や退屈という要因が加わっているということ
*これは人間にも当てはまる
☆周りの人とのつながりを持ち、意味のある活動をしている人
*薬物の誘惑があっても、見向きもしないし、依存症にもなりにくい
☆「依存症」の反対語、「断薬」「強い意志」でもなく、「つながり」だ

☆依存症治療への道の1つはコネクションを増やすこと
*「コネクション」を大事にし、それに「依存」することは、重要だ
☆薬物に依存せず、ネガティブ感情に対処にコーピング・スキルを身に付けるのも重要
*薬物への欲求が頭をもたげたときに、我慢するのではない
*効果的に対処するための数々のコーピング・スキルも覚えることだ
☆例、あらかじめ手首に輪ゴムをつけておく
*薬物のことを考え始めたら、「輪ゴムパッチン」し15分間何かに集中する
*生理学的に薬物渇望は15分経つと消え去る
☆薬物使用の「引き金」となるものをリストアップ
*それを生活の中から排除したり、別のものに置き換えたりする作業も重要

☆人間とラットは違い「孤独な檻」に入れられても
*人間はネズミと違って、誰もが依存症にならない
☆人間の行動は「認知」に左右される場面が大きいから
*認知とは、判断、解釈、理解など、「物事のとらえ方」をいう
☆覚せい剤についても
*「興味がある」「1回くらい試してみたい」との認知の人もいる
*「絶対ダメ」「恐い」「怖ろしい」という認知の人もいる
☆薬物使用に関しては、薬物に対する認知がその人の行動を左右する
*大多数の人は、孤独で不安であっても、覚せい剤に救いを求めない
*そのような認知を有しないからだ
☆違法薬物を「良し」とするような「反社会的な認知」があれば
*心理的抵抗なく手を出してしまうだろう
☆「反社会的認知」には、多様なものがある
*暴力を容認する認知、ルールや法律違反を許容する認知
*反社会的な人々との交際を求める認知
*入れ墨など裏社会の「文化」に憧れる認知
☆こうした認知を清原さんは有していなかっただろうか?

☆懸念材料は、治療はいつまでも続かないということ
*病院に通っていても、治療は終わり、そこから本当の戦いが始まる
*執行猶予は、1つの歯止めにはなっていたはず
☆清原さんは、「執行猶予が明けるのが怖い」と述べていたという
*執行猶予・治療等、外から与えられた「枠組み」がなくなるときの不安
*その場合、自分で新たな「枠組み」を作っていくしかない
☆一番望ましいのは、自助グループに参加すること
☆毎日の生活の「ルーティーン」を作り
*薬物の誘惑が忍び込まない生活のパターンを確立する
☆新しい新たな「枠組み」も必要だ

☆懸念材料の最大のものはアルコールである
*清原さん、著書の中で、アルコールに逃げてしまっていると告白してる
☆アルコールに頼る場合
*不安から逃避する覚せい剤に頼っていたときの心理と変わらない
☆薬物依存症者にアルコールはご法度である
☆依存症というのは、脳の病気である
*脳の機能が回復する際に、アルコールはそれを阻害してしまう
☆アルコールをやめられない人
*薬物再使用率は、やめた人より8倍高いと言われている
☆患者さんから一番抵抗を受けるのが、断酒を勧めたとき
*「アルコールは合法的なのになぜいけないのか」
*「酒をやめたら何を楽しみにすればいいんだ」等
☆依存症に陥った脳が、別の「薬物」としてのアルコールを求めている声

☆逮捕・生活が破綻で、薬と手を切ろうと思うのは自然なこと
☆難しいのはそのモチベーションを維持し、断薬の継続
*1つは、何か「自信を高められること」を見つけて、継続してほしい
*2つ目は、「人生の目標」の再設定にとりかかってほしい
☆具体的な目標があると、それに向けて具体的な行動が取れる
☆覚せい剤をやめることは、その手段の1つでしかない
☆大事なのは、薬をやめてどんな人生を送りたいかということ
☆清原さんは、自分が良くなっている実感がないと嘆いている
*何か目標を立てて、地道な努力を継続する中で
*その小さな目標が1つ、また1つ達成できたならば
*それは確実に良くなっている証拠である
☆数値目標を立ててそれを実践していくとなおよい
☆重要なことは、頭の中だけでない
*これらを目に見える形で書き留めていくこと
(敬称略)


☆記事内容ご指摘あれば、訂正・削除します





(コーピング・スキルの例)
清原和博氏は必ず立ち直る
(Yahooニュース(原田隆之氏)記事より画像引用)