たけじいの気まぐれブログ

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畠山健二著 「本所おけら長屋」(十)

2020年02月04日 15時14分44秒 | 読書記

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(十) (PHP文藝文庫)を読み終えた。「本所おけら長屋シリーズ」第10弾の作品である。
本書には 「さかいめ」「あかぎれ」「あおおに」「もりそば」「おくりび」の連作短編5篇が収録されている。
舞台の中心は、お江戸亀沢町にある「おけら長屋」。
「おけら長屋」には 貧しいくせに お節介で人情に厚い住人達が まるでひとつ家族のように関わり合い、助け合いながら暮らしている。次々持ち込まれる騒動、事件、厄介事に対して 笑いと涙で体当たりし まーるく収めていく、人の優しさが心に沁み込んでくる時代小説である。ほぼ1話完結連作構成だが、各篇共、まるで江戸落語さながら、抱腹絶倒と感涙の波が絶え間なく、テンポの良さもあり、一気に読み通せる作品である。
笑い、涙、堪え切れず・・・・、
周囲に人がいないところで読んだ方がよさそう?

畠山健二著 「本所おけら長屋」(十)

その壱「さかいめ」
おけら長屋の大家徳兵衛は 遠縁にあたる草履屋飯田屋九兵衛から 手を焼く跡取り息子弥太郎をおけら長屋に住まわせ、修行させたいと相談される。棒手振り稼業の魚屋辰次、八百屋金太の出番になるのだが・・・。すったもんだの挙句、弥太郎は すっかり万造松吉に心酔?。
本篇最後の文節
お染は 鉄斎の袖を引っ張る。
「だ、旦那 どうやってこの場を収めるんですか」「さあ・・・・」
鉄斎は笑いを堪えながら 鼻の頭を掻いた。

その弐「あかぎれ」
おけら長屋の住人、たが屋佐平の女房お咲は 南本所石原町の八幡長屋のお福が富山の置き薬商人和助との仲を心配するところから始まる。実は 和助は訳有り、元東北のある藩の藩士で脱藩、離縁した娘千歳がお手打ちになる危機を知る。島田鉄斎は 常陸屋太郎兵衛等と筋書きを作り救済に乗り出す。

その参「あおおに」
油問屋河内屋の次男喜之助は20歳だが閉じ籠りで、商家にとっては厄介者の息子、家を追い出され、長屋に独り暮らししている。おけら長屋の住人で乾物問屋相模屋の隠居与兵衛宅に番頭の時次郎がやってきて 相模屋のごたごたが明らかになる。孫の長太郎は 喘息の病の弟清一郎のために・・・、自分勝手な主の宗一郎と後妻お恵に 聖庵堂の見習い医師お満が ついに堪忍袋の緒を切らす。
本篇最後の文節、
「どうしたんです。島田さん」
「いや お満さんは だいぶ万松の二人に似てくるなあ」(中略)、
「おや、覚えていないのか。「このあんぽんたんが」「うるさーい。すっこんでろ」「てめいで尻を拭けないくらいなら」・・・・いやはや万松にも聞かせたかったなあ」
お満は顔を真っ赤にする。

「ちょっと島田さん、あの二人には内緒にしてくださいよ。ねえ、島田さん、待ってくださいよ。今日は奢りますから~」。鉄斎は お満を困らせてやろうと 早足で歩いた。

その四「もりおば」
三ツ目長屋に住む26歳の刃研ぎ職人半次は喧嘩っ早く、せっかち、早とちり、思い込み激しく、女に惚れやすく 熱くなるとがむしゃらに突っ込み 諦めも早いことで本所界隈で有名で表具師多助の娘お美代に手を出すなと 自分で触れ回っているが 一人合点。お美代には想い人玉助がいた。万造、松吉は 面白半分、半次にそば屋千寿庵の大食い大会で男を売れとそそのかす。そして当日、その結果は・・・。爆笑、爆笑、大爆笑・・・。

その五「おくりび」
その壱「さかいめ」で おけら長屋の住人になった飯田屋の跡とり息子弥太郎は そのまま居座っている。ある時、お上からの通達でおけら長屋で防火稽古することになり、27~28歳、鼻筋が通り背が高く歌舞伎役者のような美しさも有る、いなせなに組の纏持ち政五郎がやってきた。おけら長屋の女たちは皆 小娘みたいに 目が潤み、足は震え、とろけそうになり、弥太郎は 政五郎に弟分にしてくれと迫る。
い組とに組が衝突が有り、手打ちの酒で 政五郎は正体を無くし地が出てしまい 栗田村の政っぺと化し、生粋の江戸っ子でなければならない纏持ちをやめる羽目に。故郷に帰る政五郎を見送る弥太郎、屋根の上で纏を振って 故郷へ帰る政五郎を見送る。
本篇最後の文節、
「政五郎兄い~。お達者で~。政五郎兄い~」
八五郎は、肘で万造を突く。松吉が笑う。
「棒は金太が使ってる天秤棒。頭の丸いのは八五郎さんちから拝借した桶に紙を貼って「お」って書いたのよ。おけら組の「お」ってわけよ」
万造が続ける。
「その下で揺れてる房飾りが乙だろ。おれの家にあった手拭いを細く切って作ったんだからよ」「おめえの家の手拭いって・・・・、元は大家の褌じゃねいか。まさか 政五郎さんにウンがつきますようにってえ、洒落じゃねいだろうな」(後略)

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デジブックを見る その16 「絢爛エカテリーナ宮殿」

2020年02月04日 10時41分21秒 | 旅行記

数年前に初めて知り利用してきた「みんなのデジブック広場」は 今年2020年3月31日をもって 全サービスを終了するという。見様見真似で、せっかく作ったデジブックも 改めて見る機会等余り無いまま、消えて無くなってしまうことになりそうで、消えて無くなる前に 見納めのつもりで ボチボチ見ておこう等と思っているところだ

健康不安も募り出し、「その内いつか・・・」等と言ってられない高齢となってしまい、時間的余裕、経済的余裕も無い中、清水の舞台から飛び降りる思いで 2015年8月に、旅行会社の格安海外旅行ツアーに参加、夫婦でずっと憧れていた「スイス」を旅行をしたことを 先日記したが、それまで「夢のまた夢だった海外旅行」が実現したことで 火がついたように 同じ年に 同じく旅行会社の格安海外旅行ツアー「サンクト・ペテルブルグとモスクワ5日間」にも 参加してしまったのだった。
わずか5日間、現地実滞在3日間という、忙しく駆け回る旅程で、疲れ果てた旅行だった気がするが その感激、感動の余韻は 今も残っている。あの時、思い切って申し込んで良かったと 今ではつくづく感じている。
自営の仕事をやめて以降は、時間的余裕はたっぷり有るものの、体力、気力減退、とても そんな海外旅行は出来そうになくなっているからだ。
頻繁に海外旅行をされる方と異なり 片手で指折り数える程しか無い「海外旅行の思い出」、我が家では 貴重であり、宝物?の如しになっているのである。
「サンクト・ペテルブルグ観光」のひとつ、「エカテリーナ宮殿」の写真も デジブックにしてある。

デジブック「絢爛エカテリーナ宮殿」 → こちら

 

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