図書館から借りていた、横溝正史著 「人形佐七捕物帳(一)」・嘆きの遊女 (嶋中文庫)を読み終えた。事前下調べも全く無しで、ふっと手を伸ばして借りてきてしまった書だが、もちろん、横溝正史の著作を読むのは初めてのこと、氏の文体に慣れるまで、やや戸惑ったが、読み進める内に、次第に引き込まれ、一気に読んでしまった。本書には 表題の「嘆きの遊女」の他、「羽子板娘」「謎坊主」「山雀(やまがら)供養」「宮芝居」「三本の矢」「幽霊山伏」「屠蘇機嫌女夫捕物(とそきげんめおととりもの)」「座頭の鈴」「花見の仮面」の連作短編10篇が収録されている。
読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう爺さん、読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、その都度、備忘録としてブログ・カテゴリー「読書記」に書き留め置くことにしている。
舞台は、江戸。人形が付く程に端正な美男、神田お玉が池の岡っ引き佐七が主人公の連作短編時代小説、その第1巻だ。度胸も良く、捕物にかけては三国一、恋女房でヤキモチ焼きのお粂(おくめ)、子分の巾着の辰(辰五郎)、うらなりの豆六と共に、奇怪な事件を解決していく、ユーモアあふれる捕物物語だ。なんでも、「銭形平次捕物帳」「半七捕物帳」と並んで、三大捕物帳の一つとされているのだそうだ。
「羽子板娘」
主な登場人物、お仙(佐七の母親)、お源、お蝶、お組、お園、
吉兵衛(岡っ引き・佐七の親代わり)、お千代、山の井数馬
まだ独身の佐七が、初めて事件を解決、手柄を立て、人形佐七の名を売りだした、
佐七デビューの物語。
「謎坊主」
主な登場人物、春雪坊、花房千紫、お千代、佐兵衛、神埼甚五郎(与力)
佐七は、まだ独身、子分もいない頃の捕物物語。
「嘆きの遊女」(表題作)
主な登場人物、お粂、留吉、熊谷武兵衛、熊谷新之助、
磯貝九郎左衛門(仕置きされたお粂の父親)
子分の腰巾着の辰と佐七が飛鳥山の花見中に、目の前で殺人事件が発生、
現場に居合わせたお粂に一目惚れしてしまう。 お粂は、元吉原玉屋の花魁東雲太夫で
囲い者だったが、事件解決後、結婚。お粂は、1歳歳上のやきもち焼きの女房となっていく。
「山雀供養(やまがらくよう)」
主な登場人物、神埼甚五郎(南町奉行与力)、山雀のお万、お美乃、お君、近江喬四郎、数江、
お美智、斑鳩三平、
「宮芝居」
主な登場人物、宮川左近、金子雪之丞、片岡三右衛門、お藤、
「三本の矢」
主な登場人物、柳川主膳、深雪、白須賀八郎左衛門、大場弥五郎、久米源之丞、兵藤静馬、
お蓮(深雪の母親)
「幽霊山伏」
主な登場人物、お篠、緒方春浦、お美乃、浜路、宮園左内、宮園新三郎、
「屠蘇機嫌女夫捕物」
主な登場人物、お粂、沢井玄徳、玄骨、お亀、弥七、初瀬九十郎、お夏(お筆)、
鳥越の茂平次(岡っ引き、海坊主の茂平次・へのへの茂平次)、
「座頭の鈴」
主な登場人物、伊丹屋藤兵衛、与吉、お米(藤兵衛の妾)、駒代、吉蔵、林家三治、
「花見の仮面」
主な登場人物、越後屋治右衛門、滝野川の忠太(岡っ引き)、お藤、お玉、弥吉、
芝園梅渓、山形屋加兵衛、
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