熱病の太陽 ・希木谷 瞬吉
灼熱の太陽に僕は宣戦布告する
その眩しき輝きに僕は凶器を突き立てる
僕は太陽と対峙し
クラクラとするその閃光に僕は拳を食らわす
熱で溶けそうな苦痛にのたうち回りながら
一人熱病と共に寝床の中で太陽と戦うのだ
ぼかぁね、夢を見んのが趣味なのさ。夢の中では、コーラのかぶ飲みサ。ゲッ、いや、失礼。
熱病の太陽 ・希木谷 瞬吉
灼熱の太陽に僕は宣戦布告する
その眩しき輝きに僕は凶器を突き立てる
僕は太陽と対峙し
クラクラとするその閃光に僕は拳を食らわす
熱で溶けそうな苦痛にのたうち回りながら
一人熱病と共に寝床の中で太陽と戦うのだ
ぼかぁね、夢を見んのが趣味なのさ。夢の中では、コーラのかぶ飲みサ。ゲッ、いや、失礼。
囁き
僕の阻害された頭の外部で女達が囁く
僕のその言葉の真偽に戸惑わされることなく
整頓された分裂のただ中でじっと身構える
もう、ここから出られることはないだろう、とか
ここにはもう灰ジンとなった言葉しか存在しない、とか
ここから立ち去るべきなのかも知れないが僕は雁字搦めになった檻の中で
身じろぎもせずジッと言葉の意味も省みず吐き出す
ここに僕が存在したという実証は何もない
ただ、僕は雲を掴むような曖昧な実証の前に立ち竦み
自分の脳の中で行われる狂騒に身を任せるが
実際には僕は囚われているだけだ
逃げ出すことを考えてもいるが僕は自分自身から逃走する手段を知らない
僕は戦うことをしないだろう
僕はただ耳を傾け、そこにいるだけのことしかできないのだ
おいらの夢? そりゃ、世界を救うことだニャ。世界はおいらにしか救えないニャ。おいらはスーパーヒーローだニャ。えっ? そうニャ、夢見ちんだニャン。
336
休日に僕は彼女にメールを打つ
あなたの顔はもう見たくない、と
全てに別れを告げて僕の目指したのはハイになることだ
ハイヤーとなることだが僕の鼓動は静かに刻む
ビートの動きは何となく派手でいやらしいし
彼女は今頃怒ってんだろうな
それとも心配してるかも知れない
でも、返信はない
結構捨て去ることは簡単なのかも知れない
それに、僕は後二週間で死んでしまうんだし
病気って結構人を簡単に殺すんだな
僕は善人ぶって死ぬつもりはない
ただあくまで自分として死にたいだけなんだけどさ
すべてがうぜぇわ! おいらは大将、あんたも大将、って、なにが言いたいんだっけかなあ。つまり、おいらは幸せだったってことだよ。あぁ、あの午後の風の気持ちよかったことったら……。
ルーズ
僕の全生命を賭け掛け金をレイズする
敗れ去った僕の破片を拾ってくれよ
太陽の静かな嘆きが僕の敗北を笑うんだ
その微笑が僕を傷つけ破れかぶれにするのだ
喧噪が僕の頭痛を更に酷くする
頭痛のまま死ぬのはイヤだな、とか
負けちまったんだから仕方ないです
理由なんてわかんないです、それにチャンスはラストじゃないし
太陽はまだ輝いているし
僕の心臓は高鳴っているんだしね
未だ街はざわついて人はどっかにせっせと歩いていく
僕の頭痛はかなり酷い、吐き気もするし、目も充血してる
これが敗北の意味なのだと
悟ったりするのは明日の早朝なのだろう
瀬田但・苔玉・蔓かごと鶴岡たか、草木染めスカーフ展(詩とは、関係ありませんよ。2014年10月2日当時のもの)。今は、やっていません。この当時は、古本はやっていませんでしたね。趣味が高じて、古本屋になっちゃいました。
甘い犠牲
そのショートケーキを食べてください
あなたはイチゴが好きですからきっと食べてくれるはずです
それでも、あなたは食べないのです
僕はとっておきのものを差し出すのにあなたは受けつけないのです
どんなものでも、あなたは僕のものは犠牲の上に成り立っていると思い
食べないのです、一口も食べないまま腐っていくのです
ドロドロの腐臭を放つショートケーキを前に僕のことをあなたは更に呪うのです
僕はなす術もなくその呪いを受けるのです
僕は何の犠牲の上にも立っていないのです、信じてください
腐っていくショートケーキのように僕の心は腐敗しています
それは認めましょう、ただそれだけなのです
自分自身の腐敗の上に僕は存在していくことになるのです
そうです、僕は腐り果て信じられないほどの腐臭を放っていくんです
許してください、僕の愚鈍さを、僕の残酷さを
新調した「おいしい珈琲あります」の看板!(2014年9月当時のもの)。今は古本カフェという文字の踊る看板、まあ、看板ではなく、布ですけどね。氷も、今はやっていません。今年もやらないつもりです。今、前の駐車場の地面の工事をしていて、すごくくさいし、音も酷い。来ていただく方には、ちょっと迷惑かも。それでも、全力営業中、活動限界まで、行けぇぇぇぇ!
夕日
あの夕日を撃ったのは俺がまだ闘犬だった頃
闇雲に噛みつき肉をむさぼり食ってた
まるで危険な弾丸でどこに穴を穿ち壊すか知れなかった
俺は感情を破壊し思考を叩き壊した
それでも満足できない俺は自分の魂を蹴落としののしった
それでも俺は神聖で誰よりも清らかだった
その頃を思うと俺は今では夕日に目を細めくそったれめと呟くのだ
ギャラリーの軒先の甕で咲いている白い曼珠沙華。(2014年9月24日)。どぅ、わたすって、案外、いけてない? いけてるっていってよぉ!
墓地では
その静謐漂う無機質な香りを黄金に変え
死者の魂をネオンサインに映し
漂流するかぐわしい憂いに翻弄された僕は
墓地に迷い込んだトランプのハートの切り札を切り
心臓の鼓動のような足音
血に塗れた信号に映る屍の目
ドロドロの血管の外側に渦巻く傷痕
無名の詩人の墓碑、戯れる無垢な少女たちの腐った小指の爪
僕らの悲鳴を聞きつけた老人の腐臭のする爪痕のある腕
僕らはサクランボを摘まむ臼歯を持つ少年だ
エチケットは男のたしなみニャ! 君も毛づくろいするニャロ? これで女の子にモテモテニャ!
沈殿
気分がスッと落ち込み死にたいと呟き
鬱かな、と思ったりする
空を飛ぶイメージが抱けず地を這いずり回り
地球の底にへばりついてる感じでベッドに入るも眠れず
瞬く間に時間は過ぎ永久に暗闇の地底人と成り果てたような気分
陽の燦々と降り注いでいるのも分からず体中が重い
僕はこのまま辛い気分のまま死ぬのだ、と思うだけだ
解説
これを書いた頃は、実際に鬱だったようだ。体が重く、ほんとに
辛かったように思う。辛かったが、それをどうにもできず、あた
ふたするだけだった。もちろん、逃げることも叶わなかった。
全体的に暗い作品だが、そのときの心象が表れていると思う。
まんぼうのカラー魚拓。積山さんの作。
種(ジミとホールと僕)
傾斜するロッカーの鍵をこじ開けたのはジミ
出来損ないの日干し煉瓦を積み重ねて家を造ったホール
猛烈に暑い砂漠で死んだ蛙はジミ
腐臭を放つパイナップルを齧っては吐き出したのはホール
そして、僕はというといつになくヘンな恰好をして踊るオレンジの種なのさ
拙者、旅がらすでごわす。今日も豆腐を求めて旅を続けるでごわす。旅のし過ぎで顔も摩耗してきたでごわす。ごわすごわす。
君の夢の中で
今は深夜三時二分、君は安らかに眠りに就く
僕はというと何だか何もかも空っぽになっちまった感じに
あの知的探求心の衝動も失せて、自己探求心も粉々に砕けて
眠れないんだ、辛くて仕方ない、肉体は悲鳴を上げる
生活にも退屈しちまったし、たいしてやりたいこともない
随分シンと」してるし、耳の裏側では音楽が鳴り止まない
金はないし、友達とは音信不通だ
何の言葉も残さないままにね、まあ、それは
ああ、チャームスが今の僕を救ってるな
君に甘い言葉を言って欲しい、愛してるわ、とかさ
友達もいないし、寂しいとは思わないけど
ちょっと思い出すといろいろなことが色づいて思えたりする
透明な意思を覗き見ると、そこに僕の人生が映し出される
君の見てる夢の中だよ、僕はその中で囚われの人生を送ってるのさ
スオウで染色中! うん、キレイに染まったぁぁぁ。