講談社 2009年
副題的に、吉行淳之介自身による吉行淳之介③とある。
ケストナーの「ファビアン」に「ちょっとの違いが
大きな違い」とあるらしく、開高大兄と、我々はそ
こを読み外さない、と語っておられた。
1979年のエッセイから亡くなる前年1993年
までの充実しているエッセイの数々を収めている
本書。川崎長太郎氏に始まり、色川武大氏、井伏鱒二氏
まで、思い出を描き、偲んでいる。
お酒がお好きだったらしく、日本酒を飲むと肌が爛れるので、
ウイスキーを飲んだら、それがないので、生前井伏氏に教えた
とある。すごくデリケートな人で良く気が付き、端々に神経の
行く人と言う印象である。こういう人とはあまり会いたくない。
見透かされそうで、ちょっと怖いからである。編集者としても、
奮っていて、先日、「奇妙な味の小説」がとても良かったので、
本書を買って読んでみたというわけ。
(読了日 2024年10・17(木)18:50)
(鶴岡 卓哉)