古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

文字食う虫について  澁澤龍彦

2025-01-06 22:02:36 | 本の紹介

「素敵な活字中毒者」所収。 集英社文庫

 

昭和五十五年

 

澁澤氏と云えば、エロティシズムの権威として有名だ。

 

マルキ・ド・サドの研究に於いても秀でている。

 

この短編は、「ユリイカ」に発表。「ドラコニア綺譚集」に

 

収録。青土社より刊行されている。

 

この短編は衣魚(しみ)と云う虫。本を食べる虫について

 

の話しだ。

 

経典で三行の文章がどうしても読めない。覚念は深く嘆き悲

 

しんで三宝に相談し、加護を求めた。すると、夢の中に気高い

 

老僧が出て来て、「おまえには宿因がある。前世は衣魚という

 

虫で、その三行を食べてしまったのだ」と云う。それからは、

 

つっかえずに読めるようになった、と云う話しが紹介されている。

 

僕はこの話しがとても好きである。宿めとは、動かしがたく、

 

そこに存在すると云うことが明解になっている点が良い。

 

(読了日 2024年12・4(水)14:40)

               (鶴岡 卓哉)

 

 

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