古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

一号線を北上せよ ヴェトナム街道編 沢木耕太郎

2024-10-01 00:52:17 | 本の紹介

講談社文庫 2003年

 

「深夜特急」は個人的に思うところがあってか、

 

読むのを中断してしまったのだが、この本は

 

完読できた。

 

ヴェトナムには一号線というのがあって、

 

飛行機の墜落事故にあったばかりなのに、

 

ガタガタ揺れるバスで北上することに決める。

 

そのときのことが描かれている。巻末に、

 

高峰秀子女史との対談がのっていて、高峰

 

さんというのは、穴の中でずっと本を読んで

 

いたいような人らしいね。ぼく、そういう

 

人が好き。一生街から出ない人とか、半径

 

五百m以内で全部済ます人とか、だから、

 

あんまり、旅する人っていうのに、共感は

 

しないけど、読むのは好きなわけでさ。読む

 

のだったら、いくらでも読みますよ、という

 

わけで、すごく行ってみたくはならないけど、

 

おもしろかった。

 

(読了日 2024年9・8(日)13:44)

              (鶴岡 卓哉)    

 

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スパニエル幻想  阿川弘之

2024-09-24 04:06:07 | 本の紹介

中公文庫 「奇妙な味の小説」所収。 吉行淳之介・編

 

1988年に印刷されているこの本の活字が

 

とてもいいが、割れてしまった。一日、一遍

 

読もうと思っているが、完読できなかったのが

 

一遍あった。この阿川氏の作品は幻想とある通り

 

犬がホテルの一室にやって来て、追放しないでくれ、

 

と喋るのだ。スパニエルという犬の種類で、徹夜

 

明けの朝に吠えたりするので、女優さんと喫茶店で

 

偶然会った時に、あげてしまうことにするのだ。

 

犬の喋るのはあり得ないが、なにせ小説だ、なんでも

 

あり得る。けど、幻覚かと思ったら、そうとばかり

 

は言えないらしいところに、阿川氏のリアリズムの

 

煌めきがあるのではないか、と思った。

 

(読了日 2024年9・1(日)22:30)

               (鶴岡 卓哉)

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うまい話  結城昌治

2024-09-19 04:01:00 | 本の紹介

「奇妙な味の小説」所収。

 

金持ちの老婆を殺して、金をせしめようという

 

話に、これで悪事も最後にしようという代吉と

 

兵馬という男は乗った。渋木という男の案だが、

 

そんなに殺してしまうのだし、うまい話でもな

 

いと思うのだが、えてして、犯罪者というのは、

 

馬鹿が多いらしい。大体、馬鹿じゃなきゃ、犯罪

 

なんてしない。それに、殺した金で政治家になる

 

だのと本気で考えるほどの馬鹿だ。

 

きっと、今どき、この奇妙な味の小説を読もうという

 

人もいないだろう。だから、言ってしまうと、渋木

 

が人間のレバーを食ったことがあるか? と問う。

 

実に人間のレバーはうまそうだ。そうだ、この代吉

 

と兵馬も、この老婆と渋木はグルで、レバーになって

 

喰われちまうらしいのだ、怖ぇー、怖いわあ。

 

(読了日 2024年 8・26(月)22:20)

                 (鶴岡 卓哉)

 

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わたしの献立日記  沢村貞子

2024-09-15 22:38:23 | 本の紹介

新潮文庫 昭和63年

 

昭和41年から付けられ始め、22年間続けられた

 

夕食と朝食のメニューの書かれた献立日記。

 

すごく贅沢な食生活だなあ、と思う。フルーツたっぷり

 

夕食でもメーンになり得る料理が2種は並ぶ。

 

装丁も安野光雅氏の赤かぶの絵。こういう当たり前の

 

いい装丁って最近ないなあ。22年間で30冊になった

 

献立帳は内田百閒氏のメニューを書き連ねた献立帳にも

 

通じるところがあるな。

 

和食がほとんどというかすべてで洋食はなかったみたいで

 

す。

 

(読了日 2024年8・24(土)14:40)

               (鶴岡 卓哉)

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木   幸田文

2024-09-11 06:15:04 | 本の紹介

新潮文庫   平成4年

 

幸田氏の手によるこの木というエッセイは絶筆と

 

いうことである。随分、品のある文章だな、と暑

 

さにお脳をやられつつ読んでいて思った。

 

倒木が一列になって、樹が生えて来る、というのを

 

信じ、見に行ったり、ある棟梁から、木は二度生きる

 

伐られてから製品になってまた生きる、と教えられ

 

ホントに死んだ木を見せてやる、と言われたりする。

 

老大木を見に行って、歩けなくなり、負ぶって、見に

 

行ったりしている。かなり廻りに迷惑をかけているよ

 

うだ。そういうのが平気な質らしいね。

 

このエッセイ集は1971年1月号えぞ松の更新から

 

1984年6月号ポプラまで、文氏の作家人生全般に

 

渡って書かれたものを集めているという。このポプラ

 

というのが絶筆ということらしい。

 

(読了日 2024年8・22(木)23:44)

               (鶴岡 卓哉)

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猿ぐつわがはずれた日 もたいまさこ

2024-09-04 01:22:39 | 本の紹介

幻冬舎文庫 1994年

 

もたいまさこを浴びるように読んでみた。もたい

 

まさこを浴びるのは楽しいことだった。もたいま

 

さこは小林聡美氏こと聡ちゃんの一味でタコ社長と

 

行動を共にしていた。40代に突入したばかりのころの

 

作品で、スキーを始めたらしい。アクティブなババアだ。

 

クルマの免許を取りたがっている。おそば好きらしく

 

美味いそばがあると聞くと、どこへでもひょこひょこ

 

と行ってしまうらしい。

 

それに、八甲田山で遭難しそうになり、さ迷った挙句、

 

なんとか、無事だったという。しょーもないと言えば

 

しょーもないエッセイ集だった。しょーもなくないエッ

 

セイ集というものも皆無なので、このしょーもなさを

 

楽しもうではないか。

 

(読了日 2024年8・13(火)11:25)

               (鶴岡 卓哉)

 

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高山ふとんシネマ 高山なおみ

2024-09-02 05:35:01 | 本の紹介

幻冬舎文庫 2011年

 

映画、TV、ドラマといったものは得てして、消費

 

されてゆく運命にあり、本も一部を除けば大抵消費

 

されてゆくものだ。

 

多分、高山氏はそういうことに抗っているのだと

 

思う。いや、抗うのとは少し違うのかもしれない。

 

別次元で戦うことすら拒否することによって、抵抗

 

しているのだ。この本書は映画の批評というのとは

 

違う、映画を愛してしまった人の手記だ。そこには

 

愛故に豊かな感性に満ち溢れている。

 

ぼくは高山氏のファンであり、ウォッチャーでもあるの

 

だが、あの喋り方がすごく好きなんだよねえ。

 

ジャージの二人を見てみたいな、そういえば、レンタル

 

DVD屋ってなくなったなあ、それも時代かな。

 

(読了日 2024年8・10(土)1:15)

              (鶴岡 卓哉)

 

 

 

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番号礼賛 アイザック・アシモフ

2024-08-30 07:13:50 | 本の紹介

小隅黎・訳 「SF戦争10のスタイル」所収。 1973年

 

日本でもマイナンバーとして導入されて

 

いる番号制にいち早く着目し、コンピューター

 

で支配せよ、とのエッセイ。

 

これはF&SF誌に寄せられたエッセイで二十年、

 

一回も休まなかったという。この博士の名前は

 

稀有で、ほかに見られないという。

 

偽善者のいない世界、そんなものは実際はあり得

 

ない。ある意味、理想を追い求めているのだろう。

 

(読了日 2024年8・6(火)23:49)

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案じるより団子汁 小林聡美

2024-08-27 00:27:56 | 本の紹介

幻冬舎文庫 1996年

 

小林氏の本はけっこう好きで、この本書も

 

サブカル色が強くて、面白かったですね。

 

文章がね、シンプルなのがムリなんだけど。

 

角田女史とかムリね。けど、この人のは大丈夫、

 

もたいまさこ、群ようこ、別所哲也っておもろい

 

やつばっかやん。別所氏なんて、今や、大御所だけど、

 

けど、この頃は小林氏、呼び捨てにしてるからね。

 

別所氏はミルクティーをまず飲むらしいね。とんねるずの

 

石橋氏もロイヤルミルクティーで、石橋ティーって

 

いってたらしいね。小林氏の座右の銘は「流れる水は

 

腐らない」。いろんな人に座右の銘を聴くっていうね。

 

もたいさんの座右の銘は売られたケンカは買う、って

 

くらいだから、もたいさんって怖い人らしいね。

 

なんか底冷えする怖さが顔にも確かに表れているよ。

 

(読了日 2024年8・5(月)6:10)

              (鶴岡 卓哉)

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黄金律 デーモン・ナイト

2024-08-26 04:15:26 | 本の紹介

谷口高夫・訳 「SF戦争10のスタイル」所収。

 

非常にスケールの大きい話しで、デーモン・ナイト

 

の作品を一度読んでみたかったので、面白く読んだ。

 

でも、翻訳はいささか下手くそだね。ここまで、いろ

 

いろ読んでみて分かったのは、SFの文体が問題なんじ

 

ゃなくて、翻訳がすこぶる下手だから、こういう文体

 

になっちゃっている、って感じだね。それは、相当ヤ

 

バい問題だ。

 

内容はというと、アザ・クラというう宇宙人が引き金

 

になって、アメリカや世界が滅茶苦茶になってゆく。そ

 

して、最後はアザ・クラのお仲間が来て、みたいな、

 

という話しなのは確かだ。ディストピア小説らしいね。

 

(読了日 2024年8・4(日)12:30)

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