古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ストレンジャー・ザン・ニューヨーク 四方田犬彦 写真・北島敬三

2024-11-06 00:40:10 | 本の紹介

朝日新聞社 1988年

 

いつもは上がらずに済ませてしまうが、2階に

 

上がって、芸能のコーナーのこの本をアカデミイ

 

で手にし、冒頭、ストレンジャー・ザン・パラダ

 

イス、ジム・ジャームッシュ監督の映画に言及し

 

ている文章があり、買うことに即決。ニューヨークは

 

行ったこともあり、大好きな街だ。

 

ぼくは田舎より、街を歩いている方がイキイキして

 

いるらしい。この本も都会的でアーティスティックで

 

アカデミックな本だった。まだ、ニューヨークの

 

物価が東京の八割程だった頃のみんな若い頃の話だ。

 

今はラーメン一杯数千円するというから、驚きだ。

 

四方田氏も今や、71歳の御大だ。

 

ニューヨークを立つ時、朝の三時まで、送別会をやられ

 

ていたそうだ。うーん、楽しそうだ。

 

ぼくは、もう、あんまりどんちゃん騒ぎもしたくない

 

のね。

 

ひとり静かに、ストレンジャー・ザン・ニューヨークを

 

読んでいる方が楽しいひとになってしまったのだった。

 

(読了日 2024年10・8(火)22:⒑)

              (鶴岡 卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

聡乃学習(サト スナワチ ワザヲ ナラウ) 小林聡美

2024-10-31 21:48:15 | 本の紹介

幻冬舎文庫 2019年

 

いつもこの人の本は、なんとなく読み始め、

 

なんとなく読み終わっている。

 

この人のいいところは、猫を愛しているところ

 

で、ホイちゃんという、ポイと捨てられた捨て猫

 

だからというのでそういう名前にした、という。

 

最後の大トリのエッセイで、そのホイちゃんが

 

大病をして、死んだことが描かれている。

 

それはとても淡々と描かれているだけに、静かな

 

哀しさが漂っている。

 

五十代の老いが描かれていて、いろんなところに

 

来るんだ、五十代。

 

ぼくは、この前、台所の前に置いてあったケースに

 

足を突っ込んで、滑ってコケて、腰をやられてしまった。

 

いや、頭を打って、救急車で運ばれた人もいる、とか。

 

いつどうなることやら分からぬ、毎日がアドヴェンチャー

 

な五十代なのだった。

 

(読了日 2024年10・7(月)18:30)

                (鶴岡 卓哉)

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

思い出の作家たち 川端康成 ドナルド・キーン

2024-10-30 01:47:36 | 本の紹介

松宮史朗・訳

 

キーン氏は喋ることは出来たが、書く方は

 

なかなか日本語では難しかったようで、訳

 

となっている。

 

川端氏について、ぼくがいえるのは、ちょっと

 

過大評価じゃないかなあ、ということだ。

 

それで、ノーベル賞をもらって、そのプレッシャ

 

ーで潰れてしまったのではないか、それで、ガス自殺

 

という最悪な結果になってしまったのではないか。

 

しかし、作家にとって自死という選択肢は決して、最悪

 

でもないこともあるのではないか。それは時に、川端の

 

目指していた日本的美と同様、潔い美として認められる

 

得ることもあるということだ。

 

一読して、残念なのはあまり川端について会った時のこと

 

が描かれていないことだ。

 

キーン氏が川端に会ったのは、昭和二十八年、川端はまだ

 

五十四歳で、ぼくと二つしか違わない。しかし、実に

 

老けて脆い感じの人、という印象を受けたという。

 

(読了日 2024年10・6(日)22:50)

                (鶴岡 卓哉)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

思い出の作家たち ドナルド・キーン

2024-10-27 12:35:09 | 本の紹介

松宮史朗・訳 新潮文庫 平成17年

 

本書は副題に谷崎・川端・三島・安部・司馬と

 

あるように、それぞれ5人の作家を評している。

 

今回はその谷崎を見てゆこうという趣向である。

 

キーン氏は97歳で2019年までご存命だったので、

 

谷崎とも実際会い、話しを交わしている。

 

キーン氏も悔いているが、それらの時の事書き記して

 

いなかったらしく、忘れ去られたようで、記述も

 

少ない。作品に対する賞賛の記述が多い。1953年

 

末、トルコへ行く道すがら「細雪」を困難を乗り越えて読み

 

「蓼喰う虫」(たでくうむし)の翻訳を谷崎に渡して欲しい

 

とエドワード・サイデンステッカーに依頼され、下鴨の

 

谷崎邸に向かう、それが、初遭遇だ。

 

谷崎は和服姿で、1Hほど気楽に話したそうだが、本当は

 

谷崎氏というのは男に興味はなく、来客嫌いで有名だった

 

と云う。

 

(読了日 2024年10・6(日)15:16)

                (鶴岡 卓哉)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

釣り時どき仕事   夢枕獏

2024-10-23 01:01:29 | 本の紹介

中公文庫  1997年

 

この頃の獏氏は釣りキチだったらしく、仕事

 

の合間を縫って、釣りをしていたらしい。

 

また、環境保護にも造詣が深く活動していた

 

らしい。今は、獏氏は癌になってしまった

 

らしい。

 

日本の文学に、三大テーマとして、上げると

 

すると、病気、料理、釣りとなるだろう。

 

ぼくはどのテーマも同じく好きだが、実は

 

病気と云うのが、一番好きである。

 

川釣りをメーンにやっていて、特に鮎釣り

 

に興じていたらしい。

 

ぼくは鮎釣りはしたことはないが、川釣りは

 

子供の頃、庄内古川とか古利根川があり、釣り

 

キチみたいにやっていたが、今はほぼ興味がない。

 

釣り人の心理というものを、この本ではよく言及

 

されているが、そういうもんかしらねえ、と自分

 

だけ釣れない悔しさというものも、良く分からない

 

ものだった。

 

他の人と競って釣っても大して面白くもなかろう、

 

と思うのだ。自分は自分、ということをおとなになって

 

ぼくは徹底しているので、人と比べたことは、あまりな

 

いし、悔しいと思ったこともないのだった。

 

(読了日 2024年10・4(金)1:23)

              (鶴岡 卓哉)   

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プリンスの言葉 NEW BREED WITH TAKKI

2024-10-14 09:32:01 | 本の紹介

秀和システム 2016年

 

ファンと呼ぶのを嫌って、ファムとファンの事を

 

呼んでいたということは、僕は確かにファムだ。

 

プリンスはぼくに影響を与えた、大いなるヒーロー

 

のひとりだ。

 

ぼくと同じく、影響を受けた多くの人たちがいること

 

を知った。自分が自分でいて、いいんだ、と気づかせて

 

くれた人。

 

日本人の多くは、プリンスをキワ者とか、ただのエロい人

 

とか思っているかもしれないけど、プリンスは本当に素晴

 

らしいクリエイターだった。全ての楽曲をひとりで演奏し

 

作曲し、アレンジして、多重録音で作ってしまう驚異の

 

才能を持った男だった。

 

理解するのにも才能が必要なのかもしれないが、比類な

 

きものがあるとすれば、それは、プリンス、ただひとりだ。

 

(読了日 2024年9・23(月)2:50)

               (鶴岡 卓哉)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わたしの流儀 吉村昭

2024-10-13 22:34:56 | 本の紹介

新潮文庫  平成10年

 

吉村氏はすこぶる常識人であり、道理の分かる人だ。

 

始めエッセイとしてはどうかとも思ったが、リアリ

 

ストはリアリストとしての面白さがある。

 

帯にもあるが、男の品格、ということなのだろう。

 

本を読まない人が60数パーセントもいるという。

 

ぼくは文学をやっているし、読書家であると、自認

 

しているのだが、こんな面白いことをぼくだけが

 

楽しんでいいのだろうか、と思う。いや、いいのだ。

 

思う存分、楽しむがよい、と自分に言ってあげようで

 

はないか。

 

吉村氏は酒豪だったそうで、毎晩飲んでいたらしい。

 

父上を17、8歳の時に亡くし、53歳だったそうだ。

 

その当時の寿命だ、と言うが、ぼくなんて、あと1年

 

しかないのですが。よく警察官とかに間違われ、近所

 

の八百屋の主人だと思われていたこともあるし、養豚

 

業者だと思われていたこともあったらしい。

 

昭氏は2006年に亡くなっていて、奥さんは作家の

 

津村節子女史で、96歳でご存命ナウだそうだ。

 

(読了日 2024年9・17(火)21:30)

                (鶴岡 卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新版 続・悪魔の飽食 森村誠一

2024-10-11 04:30:55 | 本の紹介

角川文庫 1982年

 

ハルピン市南方ニ十キロ、平房にあった細菌兵器

 

の研究をしていた七三一部隊の石井四郎部隊長に

 

ついて主に書いた作品。石井隊長だけではなく、

 

七三一部隊のおこなった数々の悪行について露わ

 

にされてゆく。おっ、と思ったのは、河辺村、今の

 

庄和町、現在は春日部市になっているが、そこで、

 

「埼玉県医学試験動物生産組合」というモルモット

 

などの感染症の研究に使っていた小動物を育ててい

 

た施設があったっていうこと。春日部市はぼくの

 

生まれ故郷で、そんなところがあるなんて、露とも

 

知らなかった。それが、石井四郎の七三一部隊と

 

繋がっていて、朝鮮戦争で細菌戦でプロパガンダか

 

もしれないが、使われていたとは、なんか因果を感じ

 

ぬわけにはいかなかった。森村氏は2023年7月

 

24日に亡くなっている。ご冥福を祈る。

 

(読了日 2024年9・17(火)5:57)

               (鶴岡 卓哉)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

くらしとことば 吉野弘

2024-10-02 16:41:43 | 本の紹介

河出文庫 1981年

 

2014年に亡くなった吉野氏のエッセイ本だ。

 

吉野氏は生前、高名な詩人で、奈々子さんと万奈

 

さんという二人の娘さんがいたらしい。な、という

 

音は女らしいとおもっていたそうで、七月七日に

 

生まれたらしい。このエッセイは主に1975・

 

76年に書かれている。社長業を数年やっておられた

 

らしいが、ほんものの詩人に商売はムリだろう。

 

倒産してしまったらしい。あらゆる方面に目がついていて

 

バスの中とか、アンテナを張りまくっていたことが

 

伺われる。詩人らしい新鮮な目で、色んな物事を見て

 

いて、読んでいて、ほーっ、と頷いていた。

 

(読了日 2024年9・9(月)14:16)

               (鶴岡 卓哉)

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一号線を北上せよ ヴェトナム街道編 沢木耕太郎

2024-10-01 00:52:17 | 本の紹介

講談社文庫 2003年

 

「深夜特急」は個人的に思うところがあってか、

 

読むのを中断してしまったのだが、この本は

 

完読できた。

 

ヴェトナムには一号線というのがあって、

 

飛行機の墜落事故にあったばかりなのに、

 

ガタガタ揺れるバスで北上することに決める。

 

そのときのことが描かれている。巻末に、

 

高峰秀子女史との対談がのっていて、高峰

 

さんというのは、穴の中でずっと本を読んで

 

いたいような人らしいね。ぼく、そういう

 

人が好き。一生街から出ない人とか、半径

 

五百m以内で全部済ます人とか、だから、

 

あんまり、旅する人っていうのに、共感は

 

しないけど、読むのは好きなわけでさ。読む

 

のだったら、いくらでも読みますよ、という

 

わけで、すごく行ってみたくはならないけど、

 

おもしろかった。

 

(読了日 2024年9・8(日)13:44)

              (鶴岡 卓哉)    

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする