ちくま文庫 1962年~63年
前に獅子文六氏の本を読んだのはエッセイだったので、
この作品も古本屋で見かけて、手に取ったとき、エッセイか
と思っていた。背表紙を見ると、きちんと軽妙な恋愛ユーモア
小説とあった。
可否会といわれるコーヒー道を極めるべく、モエ
ちゃんを口説こうとする50過ぎの男、まあ、モエ
ちゃんといったが40過ぎで、8歳下の男と同棲し
ていたが、出ていかれたりして、はなしはすすむ。
恋愛小説は苦手だったのだが、いくつかの優れた
恋愛小説とであい、克服した。
それにこの本は、そんなに若いひとたちを描いている
わけじゃあないのも、よかった。なにせ古希の人の書いた
恋愛なので、激しく燃え立つような感じじゃあない、どこか
冷めた、いや、クールな都会的な大人の話だ。
僕もコーヒーを淹れて、日々精進しているが、可否会に
はいれてもらえそうにない、と痛切に思ったのでした
……合掌。
(鶴岡 卓哉)