古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

日記+たった一人の生還 佐野三治

2025-02-10 18:03:31 | 本の紹介

作家になんとなくなりたく思って書き始めて

 

早くも数十年も経ってしまった。途中、何年か

 

休んだものの、続けて来て、飽きがきたと云う

 

ことはない。

 

文学と云うのはやっていても人に迷惑を掛ける

 

ものではないので、例えば、大きい何かを作る

 

とか、大きい音を出すとか、たくさんのお金が

 

かかるとかすれば、ハハも文句も言うだろうが、

 

文学にはお金もほとんど掛からないし、ジッと

 

考えているだけで出来ることなのだ。まあ、本

 

は読まなくちゃあなれないと思うので、本を

 

買うお金はいるが、僕にはアカデミイ書店と云う

 

強い味方がいる。千冊読まなければ、ダメだとい

 

うことらしいが、僕はおとなになってから、二千冊

 

くらい読んでいる。まあ、そういうわけで、僕は

 

五十を過ぎていても、好きなことを出来ているわ

 

けである。

 

と云うわけで、今日は、佐野三治氏の遭難体験記

 

の、たった一人の生還ですよ。

 

山と渓谷社 平成4

 

ライフラフトと云う救命ボートに乗って、二十七日間

 

漂流し、六人が次々と死に水葬に伏し、生き残って

 

船に見つけられて、救助されるまでを刻銘に綴った

 

漂流記。

 

救命ボートに七人が乗り、一日に一枚のビスケット

 

を六等分にして過ごしたと云う。

 

二人になってからは、励まし合って、海鳥を捕まえて

 

食べたと云う。くちばしを使って捌いたと云う。一人

 

になってしまって、海鳥をまた捕まえて食べたけど、

 

ちっともおいしくなかったと云う。人と云うものは

 

人と食べるからいろんなものをおいしいと感じるもの

 

なのだなあ。足にひどい床擦れのようなものが出来て

 

壊死して、手術したと云う。それが、絶叫するくらい

 

痛いらしい。

 

フツーに暮らせるって本当に幸せなことなのだな、と

 

つくづく思い知らされた一冊だった。

 

(読了日 2024年12・29(日)14:06)

                 (鶴岡 卓哉)

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雀    色川武大 | トップ | 雑記+陽は西へ 色川武大 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本の紹介」カテゴリの最新記事