ちくま文庫 1988
これはバブル期に書かれたものだ。川本三郎氏に
写真が武田花女史とくれば、一読せざるを得んだ
ろう。猫のたたずまいがなんとも都会めいていて、
のけぞるのではなく、そっと背を丸めて歩きたくな
る。永井荷風が町歩きを楽しんで、そっと、鴨南蛮
をたのんだ町の風景もたしか………
ぼくも東京に住んでいたことがある。町歩きを楽し
むような環境になかったのが悔やまれるが、小さな
部屋で身を縮めて、ゲームに明け暮れて、プロレスに
興じ、唯一、上野から秋葉原へ歩くのが好きだった。
今では、広島の町を歩き回っている。大抵の町はどこも
行ったが、何度行っても、飽くことはない。川の多い、
水の豊かな町である。中心地はこのご時世で危険なので
外縁部を歩くことにしましょうか。……合掌。
広島の町も東京の町歩きも、ねぎっこ焼きがいいらしい。歩いて食べられるからね。小腹を満たして、さあ、お散歩しよっと!
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