新潮文庫 昭和二十六年
この短編で、重要なモチーフとなっている崖で
あるが、ストーリー上でも重要である。
暗号解読係の主人公が、なくなった暗号書をネッ
チングの羽目板に見つける。
それを、山芋掘りに誘った加納、暗号書がなくな
ると、いつもいじめてくる上司が殴られることを
計算して、隠したと思われる張本人。その加納に
不意に、ネッチングの羽目板にあったことを冗談
めかして言うと、崖から突き落とされ、そして、
危ういところを救われる。本当に加納は主人公を
殺害しようとしたのだろうか?
それにしても、この短編とは、関係ないが、読むのが
遅すぎて、飽きてしまう、という問題が起こって来て
いる。ハハにそう言うと、そういう時は斜め読みする
のよ、と平気な顔をして言うのだ。
ぼくには、そういう芸当は出来ない。そう言われたこ
とで、天邪鬼(あまのじゃく)のぼくは集中して読む
ことが出来た。
(読了日 2024年11・17(日)21:30)
(鶴岡 卓哉)