古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

乙女の密告      赤染晶子

2018-04-24 10:12:32 | 赤染晶子
新潮社 2010年


自身は42歳で亡くなったらしい。伝説の書、ということになるだろうか。


伝説の名に恥じない、実に深い小説だった。アンネ・フランクの日記と京都


外大の乙女たちの生態をだぶらせ、バッハマン教授という個性的な人物を配


することによって、より、深い境地へと舞い降りて行っている。


密告をおそれる女……そして、アンネと名前に付された意味……抽象性から具象性


へのおそれ、といったもの。乙女という存在でいなければならないと同時に


「私」を見捨ててはならない、その間で揺れ動く、みかる、麗子様などの心情を


こっちで慮ってしまうようなスタイルでした。乙女とは潔癖なのですね。  

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